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梅若玄祥と『鷹姫』
日本を代表する能楽師である梅若玄祥が、
国境を超えて挑む、東西の"魂"の交流
梅若玄祥は、これまで能の可能性を広げる画期的かつ斬新なプロジェクトをいくつも実現させてきました。バレエやコンテンポラリー・ダンサーとのコラボレーション、西洋音楽と能の融合、ヴァイオリニスト葉加瀬太郎との世界遺産での共演、そしてギリシャ叙事詩を能に仕立て上げた新作能などなど…
今回のプロジェクト、ケルティック 能『鷹姫』は、これまで生み出してきた作品やコラボレーションの中でもとりわけ意義深い試みです。『鷹姫』は、梅若玄祥本人をして「思い入れの強い作品」と語る演目。その演目を、このたびアイルランドのアヌーナというパートナーを得て、梅若玄祥が新たに現代に生まれ変わらせます。
★梅若家から始まった100年に渡る交流の結晶
『鷹姫』の誕生、さらには能と西洋の交流のきっかけを作ったのは、梅若玄祥の曾祖父である初世・梅若実氏(五十二世梅若六郎)でした。
梅若実氏がアーネスト・フェノロサに能を教え、そのフェノロサの草稿と訳稿にインスパイアされたイェイツが『鷹姫』の原作となる『鷹の井戸』を書き上げたのです。その後、『鷹の井戸』を中心に、能と西洋の交流は100年に渡ってその翼を伸ばし続けることになります。(詳細はこちらを参照)
今回、梅若玄祥とアイルランドのコーラス・グループ"アヌーナ"が作り出すケルティック 能『鷹姫』は、この梅若実氏から続いてきた1世紀に渡る交流の結晶なのです。
梅若実
★梅若玄祥と『鷹姫』
これまで、梅若家は何度も『鷹姫』を演じており、また様々な試みを行ってきました。梅若玄祥は2004年、2009年、2012年に『鷹姫』を上演しています。
さらに2010年には、梅若玄祥の構成/演出で、バレエ・ダンサーのヤンヤン・タン、コンテンポラリー・ダンサーの森山開次らと、新作舞踏劇として『鷹の井戸』を発表。イェイツ原作の『鷹の井戸』と能『鷹姫』をさらに新しい形で発展させました。また、2013年には梅若紀彰が、野村萬斎やピアニスト坂本龍一とのコラボレーションによる『鷹姫』も発表しています。
このように、梅若家にとって特別な演目である『鷹姫』ですが、原作者イェイツの生まれたケルトの国・アイルランドのアーティストとのコラボレーションは今回が世界初!梅若家と『鷹姫』の歴史に新たな、そして重要な1ページが加わります!
新作舞踏劇『鷹の井戸』(2010)
★梅若玄祥と世界
梅若玄祥はこれまでも積極的に世界に能の魅力を伝え続けてきました。海外初の能面・装束の展覧会を開いたほか、アメリカ、フランス、オランダ、ロシアでも公演を行っています。
特筆されるのは、2015年に行われた新作能『冥府行〜ネキア』です。古代ギリシャの長編叙事詩「オデュッセイア」を能に仕立てた意欲作で、ギリシャのエピダウロスにある古代円形劇場でも上演されました。
今回のケルティック 能『鷹姫』は、これらに続く梅若玄祥の新たな世界への挑戦となります。
新作能『冥府行〜ネキア』(2015)
主な経歴
1948年(昭和23年) 2月16日生。本名善政、以後、景英、六之丞、紀彰と改名
1951年(昭和26年) 能「鞍馬天狗」子方にて初舞台。
1954年(昭和29年) 能「猩々」にて初シテを勤める。
1958年(昭和33年) 能「鷺」を披く。
1961年(昭和36年) 能「翁」千歳を披く。
1965年(昭和40年) 能「道成寺」を披く。
1969年(昭和44年) 能「翁」を披く。
1979年(昭和54年) 梅若六郎家当主継承。(財)梅若会理事長および梅若能楽学院 学院長に就任。
1980年(昭和55年) 能「谷行」芸術祭優秀賞受賞。
1984年(昭和59年) 能「卒都婆小町」を披く。
1986年(昭和61年) 重要無形文化財総合指定(能楽)
1987年(昭和62年) 芸術選奨文部大臣新人賞受賞。
1988年(昭和63年) 56世梅若六郎を襲名。
1989年(平成1年) (社)能楽協会理事に就任。
1991年(平成3年) 大阪文化祭賞本賞受賞。
秘曲 能「姨捨」を披く。
1994年(平成6年) 第1回讀賣演劇大賞演出家部門 選考委員特別賞受賞。
1995年(平成7年) 「渇水龍女」復曲で松尾芸能賞受賞。
1996年(平成8年) 観世寿夫記念法政大学能楽賞受賞。
1999年(平成11年) 讀賣演劇大賞 主演男優部門優秀賞受賞。
日本芸術院賞受賞。
2005年(平成17年) 日本能楽協会理事に就任。
2006年(平成18年) 紫綬褒章受章。
2007年(平成19年) 芸術院会員就任
2008年(平成20年) 12月8日 二代梅若玄祥に改名
2014年(平成26年) 重要無形文化財保持者各個認定(人間国宝)
業績
国内(演出、作調、能本補綴含む)
1983年(昭和58年) 551年ぶりに能「大般若」を復曲、上演。
1984年(昭和59年) 新作能「實朝」上演 作 宇野信夫。
1987年(昭和62年) 復曲能「生贄」上演。
1994年(平生6年) 復曲能「護法」上演。
1995年(平成7年) 460年ぶりに能「渇水龍女」を復曲、上演。
1997年(平成9年) 復曲能「当願暮頭」上演。
新作能「伽羅紗」上演。 作 山本東次郎。
新作能「額田王」上演。 作 馬場あき子。
1998年(平成10年) 新作能「空海」上演。 作 堂本正樹。
1999年(平成11年) 新作能「ジゼル」上演。 脚本 水原紫苑。
新作能「夢浮橋」上演。 作 瀬戸内寂聴。
2001年(平成13年) 新作能「安倍晴明」上演。 原作 吉田喜重。
2002年(平成14年) 新作能「不知火」上演。 作 石牟礼道子。
2003年(平成15年) 新作能「蛇」上演。 作 瀬戸内寂聴。
2005年(平成17年) 新作能「小野浮舟」上演。 作 馬場あき子。
オペラ「カーリュウ・リヴァー」初演出。
能楽劇「夜叉ヶ池」上演。 原作 泉 鏡花。
2006年(平成18年) 新作能「紅天女」上演。 原作 美内すずえ 脚本 植田 紳爾。
主な海外公演
1989年(平成1年) ベルギー公演「ユーロパリア・ジャパン」。同時開催:能面・装束展。
1993年(平成5年) ニューヨーク メトロポリタン美術館公演。
1995年(平成7年) ニューヨーク セントラルパーク薪能。
1997年(平成9年) アムステルダム トロペンミュージアム公演。
パリ ポンピドゥーセンター公演。
2000年(平成12年) ニューヨーク ピッッバーグ能楽座公演。
オランダアムステルダム日蘭交流400周年記念公演。
オランダ公演(アムステルダム市立劇場・アルクマール聖ローレンス教会)。
ベルギー公演(ブラッセル王立美術館ホール)。
フランス公演(パリ日本文化交流会館・リール商工会議所)。
2002年(平成14年) ニューヨーク テロ1周年追悼公演 蝋燭能。
古典芸能と現代美術のコラボレーション。
フランス・ベルギー・オランダ公演。
2003年(平成15年) ロシア連邦 サンクトペテルブルグ建都300周年公演。
2004年(平成16年) アーツプラン2004年 アメリカ公演。
ボストン(ジョンハンコックホール)。
ニューヨーク(ジャパンソサエティ)。
アトランタ(リアルトセンター劇場)。
ニューオーリンズ(ウエストウィーゴ劇場)。
2007年(平成19年) ニューヨーク公演 セントラルパーク薪能。
2008年 パリ公演
2010年 ギリシャ・オランダ公演
2015年 ギリシャ公演(『冥府行〜ネキア』上演)
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