ジョヴァンニ・ソッリマ



コメント/コラム




コメント

ヨーヨー・マ(チェリスト)
2CELLOS(チェリスト、デュオ)
光田康典(作曲家)
穂積(漫画家)
オヤマダアツシ(音楽ライター)
佐瀬亨(弦楽器専門誌「サラサーテ」発行人)
安田真子(音楽ライター)

コラム

小室敬幸(音楽ライター)
山﨑隆一
(敬称略)





「彼の前では、僕はまるで子猫のようなもの。
彼はチェロの超達人で、怖いもの知らずだ」
ヨーヨー・マ


ヨーヨー・マとソッリマ



「ソッリマとAC/DCの曲を共演したんだ。
僕らの夢が叶ったよ!」
2CELLOS


2CELLOSとソッリマとミッシャ・マイスキー




ここ数年で最も衝撃を受けたアーティスト。チェロの腕前は然る事ながら、
作曲家としての感性が素晴らしく、随所に出てくる美しいメロディに心を奪われます。
CDを聴いただけで衝撃を受けたのだから、生で聴いたら失神モノだと思います。
光田康典(作曲家)



ジョヴァンニ・ソッリマ氏の「チェロよ、歌え」を初めて聴いた時、そのドラマ性と静かに畳み掛けるようなミニマル・ミュージックの調べに魅了され「こんな漫画が描きたい!」と、筆を取ってしまった次第です。全く未知の世界だったチェロについて、勉強を重ねながら、そのあまりの深さに四苦八苦することもありますが
何か迷った時、「チェロよ、歌え」を聴くと、不思議と次への指針を示されたような気持ちになります。
一人でも多くの日本人にソッリマの音楽を聴いてほしい、そしてソッリマが毎年日本に来たくなっちゃうくらい、日本でのソッリマ人気が爆発してほしい、と心から願っています。

穂積
漫画家(月刊flowersにて「僕のジョバンニ」連載中)


チェロの音が紡ぐ、二人の少年の魂の物語

©穂積/小学館




シチリア生まれの鬼才チェリスト、ジョヴァンニ・ソッリマの存在を知ってしまうと、「チェロ・マスターの称号は間違いなくあなたですね」と脱帽せざるを得ない。実に個性的かつ、全身全霊で弾くような演奏を聴かせてくれるのはもちろんだが、この人の手にかかると既存のジャンルなどというものは意味を成さず、ただただ「チェロの音楽」「ソッリマの音楽」としか言いようのない演奏を聴くことができるからだ。
オヤマダアツシ
(音楽ライター)




 ジョヴァンニ・ソッリマにイタリアのクレモナ(あのストラディヴァリが活躍したというヴァイオリンの聖地で生産地)で一度だけ遭遇した。小柄で、スピーチの声も決して大きくなかった。しかし、チェロを手にしたら豹変。その場を彼の世界に塗り替えてしまう音楽。次から次へ彼のメッセージが繰り出される。一瞬のうちに度胆を抜かれ、魅了された。席を同じにし、演奏もした世界最長老のヴァイオリニスト、イヴリー・ギトリスの音楽と異次元だが、同じパッションが伝わる。その彼が日本にやってくる。8月が待ち遠しい。
佐瀬 亨
(弦楽器専門誌「サラサーテ」発行人)
※2019年8月の来日公演時コメントです




ジョヴァンニ・ソッリマは、その全ての側面で唯一無二の魅力を放つアーティストだ。 チェロという楽器ひとつでバロックから現代音楽、ロックまで、あらゆる音楽を自在に行き来する。その演奏はしばしば即興的であり、作品への深い理解に裏打ちされている。情感豊かで自然な勢いがあり、音の肌理が細かい。演奏技術の高さはもちろんだが、チェロでここまで雄弁に語りかけることができる音楽家は世界でも片手で数えるほどだろう。
安田真子
(音楽ライター/ラティーナ2019年5月号)




コラム



いかにしてソッリマはポストミニマルの作曲家となったのか?



 作曲家でピアニストでもあった父エリオドロ・ソッリマの指導のもと、11歳の頃からイタリアのパレルモ音楽院で音楽を学んでいたソッリマ。作品リストに掲載される最古の作品は1976年、14歳になる年に書かれた《合奏協奏曲》である。早熟な天才は以後、様々な編成のために次々と作品を手掛けていくのだが、1980年代前半にドイツやオーストリアへ留学。前衛的な現代音楽の作曲家ミルコ・ケレメンに師事した影響も大きいのだろう。1980年後半に書かれたソッリマ作品を聴くと、前衛音楽の要素を多分に含んでいることに驚かされる。
 ところが30代をむかえる1992年頃になると、はっきりミニマルミュージックの影響下にある作風へと変遷。同時期には、マフィアに暗殺された裁判官らを追悼したレクイエムを同世代の作曲家たちと共作したりすることで、イタリア国内で作曲家として注目を集めることに。そして1993年には、代表作《チェロよ、歌え!》が生まれた。チェロの師であるアントニオ・ヤニグロが弟子たちに語った言葉がタイトルになったこの曲は、同門の名チェリスト マリオ・ブルネロに献呈され、その後徐々に世界中のチェリストに愛奏される名曲となったのは広く知られている通り。
 1995年に復興された教会のために書かれた《スパージモ(苦痛)》という楽曲を収めたアルバムで96年にCDデビュー。これが世界的な評価を獲得する足がかりとなっていく。イタリア外務省から支給された奨学金で、ミニマルの本場アメリカへと短期留学。当地でミニマルミュージックの巨匠フィリップ・グラスに認められ、彼のレーベルでアルバム《アキラルコ》(98年発売)を録音し、Steve Reich EnsembleやBang On A Canのメンバー等とも交遊。そうした音楽家と共演した2000年の公演評において、評論家カイル・ガンはソッリマをポストミニマリズムの作曲家と評したのだった。以来20年、ソッリマは多様なジャンルの音楽を取り入れながら、ヨーロッパを代表するポストミニマリストとして活躍しているのである!

小室敬幸
(音楽ライター)

(※2020年来日公演のための執筆)





ジョヴァンニ・ソッリマのチェロに身を任せれば、
私たちはどこへだって行ける



 インタビューの場で、音楽家がステージ上よりも小さく感じられることは少なくない。裏を返せば、それだけ彼らがライヴで発するエネルギーがすさまじいということなのだが、2019年の夏に会ったジョバンニ・ソッリマは特別だった。「あ、こんなに小さな人だったのか!」と思わずびっくりしてしまったのだ。
 ただ小柄なだけではない。慎重に言葉を選んで静かに語る彼は、インタビューを受けながら内なる自己とも対話しているようで、その佇まいは、傍らにチェロが置かれていなかったら哲学者だと言われても納得してしまうほどの穏やかな凄みを伴っていた。
「チェロという木でできた箱(楽器)を演奏することで、私は自然とつながるのです」
 ソッリマにとってのチェロは、自然を象徴する存在だ。だから、北極圏の氷でチェロを作るなんていう仰天アイデアも違和感なく実行に移せたのだろう。付け加えると、彼は好奇心の塊でもある。
 そんな彼が生みだす音楽は、情熱的なのに思慮深さもあって、聴く者を捉えて離さない。そこには、生命とは何か、自然とは何か、そして宇宙とは、といった尽きることのない問いがあって、音楽とはその答えを探す旅のようなものなのだろう。その普遍性が心を打つのだと思う。
 今回の公演では、世界各地で集めた音楽スケッチ「ナチュラル・ソングブック」をはじめ、エトナ山と富士山を重ね合わせた「Theory of the earth ~三味線とオーケストラのための~」など、彼の本領を存分に堪能できる珠玉の作品が披露される。
「チェロは舟でもあり、私はこれで世界中を旅しています」とソッリマは言う。彼が紡ぎ出す調べに身を任せれば、きっと私たちもその舟に乗れる。そして何かを感じれば、どこへだって行けるのだ。

山﨑隆一
(音楽ライター)

(※2020年来日公演のための執筆)




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