紅茶というとイギリスのイメージがありますが、実は一人あたりの紅茶の消費量はアイルランドの方がイギリスよりも多く、アイルランド人はヨーロッパでもっとも紅茶を愛する国民と言っても過言ではありません。起床時、食事時、ブレイクタイム、就寝前…アイルランド人は一日中紅茶を飲んでいます。しかも、アイルランドで飲まれている紅茶のほとんどが自国でブレンドされたもの。アイルランドは世界有数の紅茶大国なのです。
“Black Tea”と呼ばれる濃い紅茶にミルクをたっぷり入れ、マグカップでがぶ飲みするのがアイルランド流。もとは18世紀にイギリスから持ち込まれ、アイルランドでも紅茶が飲まれるようになったわけですが、イギリスでは「貴族の飲み物」であったのに対し、アイルランドではイギリスよりも紅茶への税金が安かったため、最初から「庶民の飲み物」として普及していったのが大きな特徴です。しかし第二次世界大戦でアイルランドが中立宣言をしたことに怒ったイギリスは、アイルランドへの報復として、これまでアイルランドに輸出していた紅茶の量を激減させてしまいます。困ったアイルランドは、紅茶を直接産地から買いつけるための輸入会社を設立。アイルランドの水質に合うということでケニアから良質の紅茶が輸入されるようになり、独自の紅茶文化が発展していったのです。