お酒
ギネス・ビール
ギネスとアイルランドとは切っても切り離せない。
アイルランドを代表する飲み物といえば、殆どの人が真っ先にギネス・ビールに挙げるでしょう。アイルランドが世界に誇る飲み物であり、アイルランドはもちろん世界で一番飲まれている人気No.1の黒ビールです。アイルランドはパブ文化が最も盛んな国であります。どこに行ってもパブがあり、パブはバーやカフェとしてだけなく社交場として、アイルランドの人々の生活に密接している場所なのです。そんなパブにはギネスが必ず置いてあり、パブとギネス・ビールは一緒に繁栄しました。アイルランドは、一人当たりのビールの消費量も常に世界の上位に入っており、ギネスはアイルランド人にはなくてはならない国民的飲み物であり、ソウル・フードならぬソウル・ドリンクなのです。
世界中で人種を超えて愛される黒ビール
アイルランドで1845年に起きた「じゃがいも飢饉」をきっかけに、大量のアイルランド人がアメリカをはじめ、オーストラリア、ニュージーランドなど英語圏へ移住し、アイルランド移民とともにギネス・ビールは世界に広ががりました。当時からギネス・ビールは世界中に輸出されおり、移住先でアイルランド移民は祖国への郷愁を感じながら飲んでいたのがギネスでした。現在世界中に大勢のアイルランド系の人々が住んでいますが、彼らにとってもギネスは欠かせないソウル・ドリンクなのです。
また、現在ギネス・ビールはアイルランド国内だけでなく、世界50ヶ国で醸造され150ヶ国以上で飲まれています。世界中のいたるところにアイリッシュ・パブが作られ、ギネスは国籍を問わず世界中人々から愛されているビールとして認知されています。
ギネスビールはアイルランドの誇り
ギネスビールの歴史は、1759年に創業者である若干34歳の事業家アーサー・ギネスが、当時使われていなかったダブリンのセント・ジェームズ・ゲート醸造所を年45ポンドで9000年間の契約で借り受けてから始まりました。当時大英帝国の支配下にあった1759年創業のアイルランドのビール会社が過酷な競争を見事に勝ち抜き、世界的な会社になるまで、数々の障壁を乗り越えていきました。ギネス・ビールは、アイルランドでも最も成功した会社として認知され、まさにアイルランドの誇りなのです。
日本とギネス・ビール
日本には、1965年にギネスエクストラスタウト(パブのギネスよりもアルコール度数高め、炭酸強め)の販売開始。1995年にはついに樽詰ドラフトギネス(いわゆる生ギネス)が上陸し、以降アイリッシュ・パブが次々とオープンします。1997年にパブで飲めるクリーミーな泡を再現できる缶入ドラフトギネスが発売。現在日本中でアイリッシュ・パブが作られ、また缶入ドラフトギネスも全国のコンビニやスーパーでも売られるようになり、すっかり身近な飲み物になりました。
→日本のアイリッシュ・パブ、レストラン
ギネス・ブックとギネス・ビール
毎年あらゆる世界一の記録を収集して発行している世界的なロング・セラー本「ギネス・ブック」。実は、1951年当時のギネスビール社社長が世界一速く飛べる鳥はヨーロッパムナグロかライチョウか、という議論になったのがきっかけで、こういう事柄を集めて載せた本を出したら、評判になるのではないかという発想から生まれました。1955年に初版が発売になりました。
因みに、まだギネス・ブックが発行されていない1883年にギネス・ビールは世界一の醸造所になりました。
ウイスキー
アイルランドは世界の5大ウイスキー国の一つとして知られています。
現在、ウイスキーの世界生産量一位はスコットランドですが、実はアイルランドがウイスキー発祥の地と言われており、1900年頃までは世界生産量一位で、世界の市場の60%を占めていました。1919年のアメリカの禁酒法、イギリスからの独立戦争、独立後の内戦、第二次世界大戦などの影響で多くの蒸溜所は閉鎖し、衰退してしまいましたが、1960年代中頃に、自国の伝統産業を復活させる政策をきっかけに、年々順調に回復していきました。こうしてアイルランドのウイスキー文化は、途絶えることなく続いてきたのです。最近も新しい蒸溜所が誕生しています。いつかアイルランドがウイスキーの世界生産量一位に返り咲く日がくるかもしれません。
近年の世界的なブームで、ウイスキーは銘柄によって高価格になったり入手困難になっています。アイリッシュ・ウイスキーも注目されていますが、スコッチ・ウイスキーに比べるとダークホース的な存在で、高品質なものがリーズナブルな値段で入手できる状況です。ぜひアイリッシュ・ウイスキーにご注目を!