アイルランドやスコットランドの伝統音楽
伝承歌 世界に広がったケルト音楽
ケルト音楽で使用される主な楽器
ケルト音楽を代表するアーティスト10選
ケルト音楽のCDやコンサート情報




世界に広がったケルト音楽

アイルランドやスコットランドで受け継がれてきた伝統音楽は、19世紀から20世紀初頭にかけて発生した大量の移民とともにアメリカ大陸へと持ち込まれました。今でもカナダやアメリカにはケルト音楽を演奏するアイリッシュ系、スコティッシュ系のミュージシャンがたくさん活躍しています。
また、アメリカに持ち込まれたケルト音楽は、カントリー音楽やブルーグラスといったアメリカのルーツ・ミュージックへと発展し、さらに黒人の音楽と融合することで、現在のロックやポップスの源流にもなったと考えられています。




ケルト音楽で使用される主な楽器

  • ティン・ホイッスル

    ティン(ブリキ・真鍮)でできた縦笛。リコーダーよりも音孔(指穴)の数が少なく、つくりもシンプル。


    バウロン

    山羊革を張った片面太鼓。ピーターとよばれるスティックでたたく。裏側に手やバーを当ててすべらせ、音程を変える。


    ボタン・アコーディオン

    鍵盤の代わりにボタンがついている小型のアコーディオン。同じボタンでも蛇腹を押した時と引いた時で違う音が出る。音にメリハリがあり、素早くドライヴの利いた演奏ができるため、好んで使われる。


    ピアノ・アコーディオン

  • ケルティック・ハープ

    グランド・ハープよりも音もサイズも小型。ペダルがないため、半音を使う場合はレバーを取り付ける。アイルランドの国章、ケルト音楽のシンボル。


    コンサーティナ



    フルート

    木製でキーがついていない横笛。ウッド・フルートとも呼ばれる。温かみのある音色。


    ボンバルド

  • フィドル

    楽器自体はヴァイオリンと同じ。持ち方や弓の動かし方にクラシックのような決まりがない。早弾きしたり重音を出しやすいよう、駒の角度をゆるやかに、弦高を低めにしている演奏家が多い。


    ブズーキ

    ギリシャ産の複弦楽器(一つの音に2本の弦を当てる)。ケルト音楽では60年代後半より使われるようになった。


    ビニウ・コズ

  • ガイタ

    ガリシアのバグパイプ。口で空気を吹き込み、袋にためた空気を肘で押し出しながら音を出す。ドローンは2本。イーリアン・パイプよりサイズも音量も大きく、華やかな音色を持つ。


    イーリアン・パイプ

    アイルランドのバグパイプ。脇にはさんだふいごを肘で動かして送風、座って演奏する。「uilleann」とはゲール語で「肘の〜」という意味。3本のドローンと3本のレギュレーターをもつ。音域が他のバグパイプより広く、2オクターヴ出せる。


    グレート・ハイランド・バグパイプ

    スコットランドの大型パイプ。かつて戦場で使用されたほど大きく力強い音。ブルターニュの「バガド」と呼ばれるパイプ・オーケストラでも使われるほか、スコットランド移民の多い北米やオーストラリアなどでも盛んに演奏される。
  • ピアノ

    カナダのケルト圏ではピアノが使用されるのが特徴。


    マウスオルガン

    ハーモニカ


    バンジョー



    マンドリン

  • ギター



    ボーンズ



    スプーンズ



    コインズ






ケルト音楽を代表するアーティスト10選

ザ・チーフタンズ The Chieftains

結成60年を迎えるケルト音楽の生きる世界遺産的な存在で、アイルランドから世界中に広がったケルとの水脈を掘り起こし続けてきた国宝級のグループ。パブや家でのセッションで演奏されていた伝統音楽を、コンサートホールで聞く文化にまで押し上げたパイオニア。





エンヤ Enya

神秘的で幻想的なケルトのイメージを決定づけ、80~90年代のケルト・ブームを巻き起こした女性アーティスト。伝統音楽とは異なる、コンテンポラリー音楽におけるケルトを代表する存在で、ヒーリング・ミュージックやニューエイジとしても世界的な人気を博している。





アルタン Altan

アイルランドのディープな伝統音楽エリア、ドニゴール出身のバンド。90年代以降のアイルランド伝統音楽シーンを牽引してきた最高峰のグループで、純度高い楽器アンサンブルと女性ヴォーカル・マレードの幻想的な歌声が魅力。





シャロン・シャノン Sharon Shannon

アイルランドで国民的な人気を誇るアコーディオン奏者。もともと抜群のドライブ感と陽気な笑顔で大人気の一流プレイヤーだったが、2008年に「ゴールウェイ・ガール」をリリースすると、伝統音楽の枠を超えて大ヒットし、幅広いファンを獲得した。





ロリーナ・マッケニット Loreena McKennitt

カナダ出身のシンガーソングライター、ハープ奏者。カナダに数多く存在するアイルランド/スコットランド系移民の家庭に生まれ、カナダのケルトを代表する存在。ケルト音楽をベースに様々な音楽要素を取り入れた、幻想的で神秘的な世界観を持つ。




カルロス・ヌニェス Carlos Nuñez

スペインのケルト文化圏であるガリシアの天才的バグパイプ(ガイタ)奏者。スペインのケルトを代表する存在で、ザ・チーフタンズとの度重なる共演や、スペイン映画「海を飛ぶ夢」、スタジオジブリ映画「ゲド戦記」の音楽への参加でも知られている。





ザ・コアーズ The Corrs

アイルランドの伝統音楽とモダンなポップ・サウンドを融合させ、世界的に人気を博した4人兄妹によるグループ。ポップス界にケルト音楽の要素を取り入れ、より広いファン層にケルト音楽を認知させた。もともとはアイルランドの音楽映画「ザ・コミットメンツ」のオーディションに参加するために結成された。





ケルティック・ウーマン Celtic Woman

2004年にアイルランドで公開番組収録を行い、その後アメリカでも番組が放送されたことで世界的な成功を収めたアイルランド女性4人で構成されるプロジェクト・グループ。たびたびメンバーを変えながら、大規模な世界ツアーを続けている。日本では、フィギュアスケートの荒川静香選手の演技で音楽が使用されたことからヒットした。





アヌーナ ANÚNA

中世アイルランドの音楽を現代に蘇らせるというコンセプトのケルト界のアカペラ・コーラス・グループ。アイリッシュ・ダンスの「リバーダンス」のツアーにも参加し、ケルティック・ウーマンのメンバーも多数輩出している。近年はゲーム音楽作品に起用されることも多く、幅広い層のファンを獲得している。





ドーナル・ラニー Donal Lunny

アイルランド伝統音楽の現代への復興に大きく貢献した音楽家兼プロデューサー。ギリシャの楽器だったブズーキをアイルランド伝統音楽に持ち込んだのも彼の功績である。プランクシティ、ボシー・バンド、ムーヴィング・ハーツ、クールフィンといったアイリッシュ・トラッドの革新的重要バンドを結成したパイオニア的存在。アンディ・アーヴァイン、ポール・ブレイディ、クリスティ・ムーアなど数々のアイリッシュ音楽の重要人物と関連が深く、さらに日本のミュージシャンに与えた影響も大きい。