David Bove: guitar + lead vocals
Tomas de Smet: bass + backing vocals
Roel Poriau: drums
Eric Morel: sax
Glenn Magerman: trumpet
Eric Bribosia: keys
Abdelkebir Ben Salloum: percussion + vocals
Hakim Bouanani: violin
Amina Tcherkich: percussion + vocals
Lalabrouk Loujabe: percussion + vocals
1996年にベルギーのアントワープで結成。活きのいいブラス・サウンド、パンクのエナジー、ジャズの実験性、ファンクなベースライン・・・などに、ジプシーブラスやクレズマー音楽、ジャズ、レゲエ、ラテン、アフリカなどあらゆる音楽の要素を混ぜ合わせたゴッタ煮サウンドを聴かせる。6人編成の前衛ブラス・ロック路線、各地のサポート・ミュージシャンを加えたモロッコ音楽路線、ブラジル音楽路線と、3タイプの違ったプロジェクトで活動。2004年に初来日、7月フジロックフェスに出演、9月の東京公演では「渋さ知らズ」と共演した。今年は、モロッコ伝統音楽家とのプロジェクト「キャンピング・シャアビ」との新作アルバムをリリースして、ワールド・ツアーを行う。
●しばらくノルデスチ(ブラジル北東部)にどっぷりハマっていたアントワープの異種格闘技ボヘミアン楽団、シンク・オブ・ワンが、再びモロッコに戻ってきた。しかも、より変態度を増して 。得意のグナワをベースに、ヒップホップもヘヴィメタルもジャズもプログレも飲み込んで、無法の限りを尽くしたヤサグレ・シャアビ。これは珍種のサイケデリック・ロックである。
松山晋也
●シンク・オブ・ワンは、リズムの骨格のところまで食い込んで、モロッコ音楽に絡んでいる。モロッコ音楽に目を付けてコラボしてきた西洋の音楽家は昔からたくさんいるけど、トランスっぽいところを過剰にアピールしたり、ジャズの要素を合わせてみたりといった次元のものが多く、ほとんど興味を持てなかった。そんななか、シンク・オブ・ワンの踏み込みの深さにグイッと惹きつけられたのである。『キャンピング・シャアビ』に収録されてる曲では、モロッコの黒人音楽、グナワのミュージシャンと共演している「Gnawa Power」にまず耳が行くが、それにも増して鋭いと感じたのが「Hamdushi Five」という曲。ベースラインが伝統的なグナワのリズムをリメイクしたものなのだ。ふだんはキャンピングカーで暮らしながら独自の世界を築いているシンク・オブ・ワン。モロッコ音楽に敬意を払っている様子も音からしっかり伝わってくるし、本当に素晴らしい人たちだと思う。
石田昌隆
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