「ジャズ」という音楽の自由性を軸に、世界の様々な音楽が集い、人々が繋がり合う。このフェスティバルは、そんな空間を目指しています。
本フェスが誕生して、今年で3回目。
そもそも、弊社プランクトンはワールド・ミュージックの音楽家たちを日本に紹介していますが、ジャズも大好きだし、音楽はそのジャンルの垣根を飛び越えて自由に表現されるものであり、ならば、ジャズもワールドも一緒にしたフェスにしよう、知らないミュージシャンに出会える、質の高い音楽に出会える、ミュージシャン同士も互いに出会える、共演もできる、そんな場を…と考えて、「ジャズ・ワールドビート」フェス企画を立ち上げたわけです。

毎年1組は海外から招聘、大ホールはパワーのある活きの良い3組、小ホールはお昼の時間帯に面白い試みや音楽性を持つアーティストをアコースティックでしっとりと…という枠組みを作り、クオリティの高い、旬でタイムリーなアーティストをフィーチャー、贅沢に聴かせます。
今年のチャボロのアンコールには大ホール、小ホール出演のさまざまなミュージシャンたちも入り乱れ、楽しいセッションが行われる!(と期待)。

また、毎年ロビー展開も楽しんでもらっています。今年はチャボロをイメージし、20世紀初頭パリのフレンチ・マーケットを再現。ワインやビール、軽食に雑貨も用意し、一日中フェスティバルを楽しめるような空間作りを目指してしています。

プロデューサー 川島恵子(株式会社プランクトン)





ジャズが媒介となって世界に広がる魅力的な音楽を体感できるフェス

今年もジャズ・ワールドビートが開催される。出演者は全員が全員ジャズミュージシャンではないが、ジャズの領域にも足を踏み入れている世界中の人たちが集まり、世界中の音楽が集まるこのフェスティバルは「ジャズ」という曖昧で、同時に魅力的なくくりの楽しさを存分に教えてくれるものだ。

例えば、マヌーシュ・ギターの名手チャボロ・シュミットは日本を代表するジャズギタリストの渡辺香津美と共演するが、そこに更にヴァイオリニストの太田惠資が加わる。アジアから、中東、トルコ、東欧、中欧、バルカンなど、様々な要素が溶け合いながら生まれたロマの音楽のひとつでもあるマヌーシュ・スウィングの名手が、ジャズだけでなくトルコ、アラブ、インド、東欧などの幅広い音楽を得意とする太田とセッションすることで、マヌーシュ・スウィングの中にある様々な要素が浮かび上がるかもしれない。そして、その二人を更に密に繋ぐのは渡辺香津美による「ジャズ」のギターだと思う。

同じことはフランスで活動するサックス奏者と仲野麻紀とギター&ウード奏者のヤン・ピタールがエリック・サティを奏でるセッションにも言えるかもしれない。様々な民族が集まるフランスで活動しながらアフリカなどへも足を運ぶ仲野が中東の楽器ウードともに奏でるサティは、世界各地の民族音楽などからの影響はなかったと言われるサティの中にあるアラブやアフリカとの共通点を浮かび上がらせてくれるのかもしれない。

ケーナ奏者の岩川光がアコーディオン奏者の佐藤芳明、ピアニストの林正樹との組んだトリオや、ヴァイオリニストの喜多直毅、ピアニストの黒田京子と共演する浜田真理子など、フォルクローレやタンゴを経由したミュージシャンたちが、越境的なミュージシャンと音楽を奏でる際にも仲野麻紀とヤン・ピタールのように「ジャズ」が媒介になる。

ジャズ・ワールドビートにおける「ジャズ」とは、ステレオタイプな意味でのジャズではなく、世界中の様々な音楽が場を共にするための共通言語のような意味でのジャズなのかもしれない。誰もがジャズと思う形をしていないかもしれない様々なジャズを聴くことで、僕らは今、ジャズが世界中でどんな役割を果たしているのかを体感することができるだろう。
そして、その並びで聴く菊地成孔がゲストとして参加するRS5pbのようなジャズ・ミュージシャンたちのサウンドからは、いつもと違う側面が感じ取れるかもしれない。

柳樂光隆
(intoxicate 2018/4/20発行号掲載)






第一回 ジャズ・ワールドビート 2016
キューバのピアニスト、オマール・ソーサとタップダンサーの熊谷和徳のデュオを中心に、最後には小ホールの出演者も入り交じっての大セッションへ!オール・スタンディング・オベーション、熱狂と感動を呼んだ奇跡の第一回目!

記事(qetic)「ポップスやタップダンスも!世界の才能が集う「ジャズ・ワールドビート 2016」の見どころをご紹介!」





第二回 ジャズ・ワールドビート 2017
ファド・シンガー、アントニオ・ザンブージョが極上の歌声を聴かせ、二階堂和美 with Gentle Forest Bandはそのエンターテインメント力を爆発させ、山下洋輔×スガダイローの超絶デュオが孤高の世界を生んだ。3者3様の個性がぶつかり合い、スケール感を大幅に増した第二回!

記事(mikiki)「山下洋輔×スガダイローや二階堂和美ら出演、ジャズをベースに世界の音楽を紹介する〈JAZZ WORLD BEAT 2017〉が開催」
記事(cinra)「ジャズは世界中の音楽とどのように混血してきた?柳樂光隆が解説」
記事(qetic)「世界の音楽を堪能!「ジャズ・ワールドビート 2017」大注目のアントニオ・ザンブージョの魅力に迫る」



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