2003年10月

31 Oct. 2003

映画『歌追い人』
〜ケルトと米伝統音楽をつなぐアパラチア音楽が満載

シブヤ・シネマ・ソサエティ(tel:03-3496-3203)11/8(土)〜
大阪シネヌーヴォ11/29〜、福岡KBCシネマ新春公開、他全国順次

ケルト音楽、カントリー/ブルーグラスのファンは必見の映画『歌追い人』が、11/8(土)より公開されます。この映画の舞台は、1907年の米アパラチア山脈。都会から来た音楽学者がすでに失われていたとされる幻の歌=バラッドに出会い、採譜・録音に併走する…という内容。
アパラチアの伝統音楽はカントリー/フォーク/ブルーグラスのルーツと言われており、アパラチア山地は多くのスコティッシュ、アイリッシュが移民が住んだ土地。つまり、アパラチアの音楽のルーツはスコットランド、アイルランドの伝統音楽なのです。この映画全編に流れる素朴で力強いアパラチアン・ミュージックには、誰もがきっと心を打たれるに違いありません。音楽ファンは必見の1本です。

『歌追い人』公式HP http://www.utaoi.jp
<オススメ・コンテンツ>
*予告編:まずはこちらをご覧下さい!
*映画の背景:アメリカのルーツ・ミュージック〜アパラチアの歌や歴史を知りたい方に。
*ニュース:お得情報。初日ご来場の方先着100名様にミネラルウォーター『クリスタルガイザー』をプレゼント。毎週金曜日の最終上映はライブ付(11/14・21・28、12/5)


全米で大ヒットしたサントラ盤「歌追い人(songcatcher)」(キング)


24 Oct. 2003

カナダのケルト文化圏、ノヴァ・スコシア州ケープ・ブレトン島

この秋から冬にかけて、カナダのケルト文化圏、ケープ・ブレトン出身ミュージシャンの作品が、次々リリースされます。
ケープ・ブレトンは、カナダ、ノヴァ・スコシア州の北東部に位置。6500平方キロメートルの島には手付かずの自然が溢れ、1998年には「世界で最も景色の美しい島」に選ばれています。
1600年代にスコットランド移民が多く移り住み、ケルト文化が伝えられました。
他のケルト圏と同じように、ケープ・ブレトンも音楽が生活に密着しており、フィドルやピアノの調べに合わせ、ゲール語で歌い、キッチンやリビングでステップ・ダンスに踊りあけくれる「キッチン・パーティ」が有名です。これらが結びつき、”踊りながら弾くフィドル奏者”がたくさん生まれています。フィドルの音色はアイルランドのものとはひと味違って、主張が強く無骨でごりごり。また、ピアノが使用され(アイリッシュ・トラッドではあまり使われない)小気味良いリズムを刻むのも特徴です。
この機会にカナダのケルト音楽を聴いてみよう!

アシュレイ・マックアイザック
『アシュレイ・マックアイザック』(UCCL-1071)発売中
ご存じ“パンク・フィドラー”の異名をとるアシュレイの久々の国内盤。ここ最近は純粋なトラッド・アルバムを出していたが、またまたトラッド+ロック+ヒップホップ+…のミクスチャー路線を展開。聴けばすぐに分かるぶっ飛びジミヘン・フィドルは健在。

ナタリー・マクマスタ−
『ブループリント』(VICP-62488)発売中
『イン・マイ・ハンズ』(VICP-62489)発売中
実力派の美人フィドラー。『ブループリント』は6作目にあたる最新作。ケルトと米カントリー/ブルーグラスの融合がコンセプトで、ベラ・フレック、ジェリー・ダグラスなど米カントリー/ブルーグラス・シーンの実力者が多数参加。白熱した熱い演奏を聴かせます。コンテポラリー音楽との融合試みた前作『イン・マイ・ハンズ』(5th)も同時リリース。どちらも超一級のフィドルがたっぷりと聴けます。

ザ・コッターズ
『メイド・イン・ケープ・ブレトン』(VICP-62475)発売中
2002年2月のレコーディング当時、メンバー4人の年齢は何と14歳、13歳、12歳、11歳。初々しい演奏の随所に光るところがあり、透明感溢れる可愛いヴォーカルも◎、聴かせてくれます。今後に期待大の超若手グループ。

スロンチャ・ヴァー
『VA』(VICP-62525)11/21発売
ケープブレトンの5人組新人バンド。フィドル、ボーラン、パイプなどにドラム、ベースなどを加え、ケルティック・ロックともいうべきサウンドを聴かせる。バンド名は英語で「good health to you」を意味する。BBCのFolk Awardにノミネートされた。


「ケルティック・カラーズ・フェスティバル」
ケープ・ブレトンで毎年行われているケルト音楽の祭典が「ケルティック・カラーズ・フェスティバル」。今年は、10月10日の前夜祭から18日まで開催されました。世界各地のケルト圏から300名以上のアーティストが参加し、島内に点在するホールからクラブまで30の会場に分かれて、コンサートのみならず、ダンス、ワークショップなども行われました。

この大フェスティバルには、我らがカルロス・ヌニェスも出演。様子を伝えるマネージャーからのメールは次のようなものでした。
Carlos in Canada last weekend
One of the many highlights of the night - which included three standing ovations throughout the show - was the closing number when Carlos Nunez invited first Natalie MacMaster and then pipers Matt MacIsaac from Natalie's band and Cillian Vallely from Lunasa and then the Fiddlers Association, the dancers and tireless square dance aficionado Burton MacIntyre back on stage for a huge finale. The calibre of the production left many in the audience commenting that this year's opening was the best in seven years.
Day Two also saw the late night Festival Club swing into high gear with a smoking performance by Be詫ach and the ever-generous Carlos Nunez sharing the stage with Boisdale fiddler Joe Peter MacLean.

www.celtic-colours.com

以下、観に行かれた方から寄せられたレポートをご紹介します。
 カルロス・ヌニェスを、カナダのケープ・ブルトンで見てきました。現地での様子をお伝えします。
 ケルティック・カラーズ・フェスティバルは今回が7回目。私にとっては連続4回目のケープ・ブルトンとなりました。10月10日のオープニング・ガラ・コンサートのトリを務めたのがカルロスでした。
 地元ケープ・ブルトン・フィドラーズ・アソシエーションの老若男女100人は軽く超えるフィドルの大合奏で幕を開け、今年のアーチスト・イン・レジデンスに選ばれた、スコットランドのゲーリック・シンガー、マリー・マッギネスと地元のマルチインストゥルメンタリスト、デイブ・マックアイザックが登場。続いてアイルランドからあのルナサがケープ・ブルトンに初登場。熱い演奏で、観客も一気にヒートアップ。しっかり人々の心をつかんだ様子。
 続いてはケープ・ブルトンの宝石(カルロスに言わせるとプリンセス)、ナタリー・マクマスター。新作ブループリント(日本盤が出たのですね!)で聴けるような、派手にショーアップされたパフォーマンスで、ステージ狭しと、フィドルをかき鳴らしながらのステップダンスを見せてくれる。ほんと、華があります彼女。
 ステージのセットアップの合間に、アイリッシュが多いお隣の島、ニューファンドランドから来た5人組クラウド・オブ・ボールド・シェアマンが、素晴らしいアカペラのコーラスを聞かせる。
 そして最後が、純白の衣装に身を包んだカルロス。実はケープ・ブルトンは彼にとっては去年に続いて、2回目の登場。しかし去年は他のメンバーがヴィザのトラブルで入国できなかったとかで、弟ショルショと二人だけのステージになってしまい、彼にとっては不本意なものだったと思うのです。その二人だけのステージで「今悲しいニュースを聞いた。チーフタンズのデレク・ベルが亡くなった。この曲は彼に捧げたい。」と言って、Woman in Irelandを奏でたことは私にとっても忘れがたい出来事だった。日本で始めてカルロスに遭遇したのは、当然チーフタンズのゲストとして出てきた時だったのですから、何か因縁めいたものが感じられました。
 そんな去年のいきさつもあってか、観衆は彼の再訪を暖かく迎え、3000人を超える場内がカルロスマジックに操られ、大いに盛り上がる。彼の美しい演奏と、ショーマンシップぶりに、皆が至福のひと時を共有した。
 フィナーレは、カルロスの号令のもと、今夜のアーティストを全員ステージに招いて、ボウを動かすスペースもないくらいの、中でのケープ・ブルトン・チューンの大合奏。その中に笑顔のルナサや、ナタリーがいる。賓客の招待席にいた、女王陛下の代理である、レフテナント・ガバナー・オブ・ノヴァ・スコシアまでが、手を取り合って最前列でスクエアダンスを踊り出す。こんなの日本で考えられますか。天皇や首相の代理がいきなり場内で踊り出すなんて。
 興奮冷めやらないなか、深夜のお楽しみ、フェスティバル・クラブへ向かう。そこではなんと、ステージを終えて寛ぎ、一般人に混じって、おいしいとは言い難いクラブのピザなんかをほおばるカルロスに遭遇。私の隣のテーブルに座ったのです。誰もサインをもらいに行ったりする人もいないし、かなり躊躇しながらも、食事が一段落した頃を見計らって、思い切って声をかけてみた。日本から来たんだよ、というとさすがに驚いた様子。12月の東京での再会を告げて、五線譜仕立ての素敵なサインをもらって、写真にも快く応じてくれた。いきなり初日からこんな幸運があっていいのか。しかしほんとに、あちらの人はみんな滅多やたらにサインをねだったりしないので、日本人が奇妙に思われるのも無理もないかも。
 私は残念ながら見逃したものの、カルロス、翌日のフェスティバル・クラブでは、キリアン・ヴァレリーと地元大物フィドラー、キノン・ビートンと即席グループを結成したとか。見たかったなあ。
三日目の昼の公式コンサート、Piper's Ceilidh。地元若手パイパーの演奏に続いて、ルナサのキリアン・ヴァレリーがソロで登場。3番手のカルロスは、出発の時間が迫っていたようで、ちょっと慌しいながらも、最後まで変わらぬ笑顔を振りまいていました。さよならカルロス、次は東京だね。
 以上、カルロスに関するネタを中心にまとめました。フェスティバルは9日間に渡って繰り広げられましたが。もっとも、最終日は当方帰国の途についていたので、報告するすべもありませんが。 (澤田幸江)


17 Oct. 2003

カルロス・ヌニェス近況(10月)

新作「絆〜ガリシアからブルターニュへ」をひっさげ、精力的にコンサート・ツアーを行っているカルロス・ヌニェス。この10月の前半は、アルゼンチン、ウルグアイ、カナダ(ケープ・ブレトンで毎年行われているケルト音楽フェス「ケルティック・カラーズ」)での公演を成功させた。現在はフランス・ベルギーをツアー中で、11月〜12月はスペイン・ツアーと、来日までを疾走する。今年最後の公演先となる日本公演はさぞかし盛り上がることだろう!

写真右上:10/3、4 アルゼンチン公演
写真下:10/5 ウルグアイ公演の初日は、首都モンテビデオの古いワインセラーで行われた。


仏「ル・モンド紙」一面にカルロス・ヌニェス登場(2003.3.15)

「La Nuit celtique (ケルトの夜)」
パリ郊外の巨大スタジアム「スタッド・ド・フランス」が光に包まれる夜
スターは、ガリシアのカルロス・ヌニェス。

3月15日、ケルトの祝祭日:セント・パトリックスデイを2日後に控え、スタッド・ド・フランスの芝生が、ケルト・カラーに染まる。
パリ郊外セーヌ・サン・ドニのスタッド・ド・フランスを会場に、ロリアンのケルト・フェスティバルのスタッフによる<ケルトの夜>は、第二回の今年、ガリシア出身のカルロス・ヌニェスを看板アーチストに選んだ。

今回、スコットランドからブルターニュまで、各地から集合したケルトのミュージシャンの中心的存在のカルロス・ヌニェスが演奏するのは、フルート、そして、ガリシア地方のバグパイプであるガイタ。昨年11月、ガリシア地方沖で起こったプレスティージュ号沈没漏油事故以来、ガリシア地方とブルターニュ地方の絆は、よりいっそうの強まりをみせる。<全文へ

リズ・キャロルのフィドル・ワークショップ開催予定

リズによるフィドルのワークショップを、
12/20(土)15:00〜16:30
九段会館内(ケルティック・クリスマス公演会場)
にて行います。

詳しくはこちら!


10 Oct. 2003

ハウゴー&ホイロップ、NHK「みんなのうた」に登場!
Yae ニューシングル『名もなき君へ』

昨年12月にケルティック・クリスマスで初来日を果たしたデンマークのデュオ、ハウゴー&ホイロップの演奏が10月〜12月、NHK「みんなのうた」で聴ける事になりました!現在番組のローテーション曲に入っているYaeさんの「名もなき君へ」という曲で、昨年12月(ケルティック・クリスマス2002)で初来日した時に、Yaeさんとのセッション〜ライヴを経てレコーディングされた曲です。Yaeさんの透明感のある凛とした歌声と、H&Hのヴァイオリンとギターのアンサンブルが印象的に心に響く素敵な曲に仕上がっています。北欧の木漏れ日の当たる広い部屋で、ゆったりと伸びやかに演奏する3人…そんな感じの曲です。

この『名もなき君へ』はシングルCDとして10/16に発売されます。もう1曲の共演曲「長い橋」(この曲も素晴らしい!)と、それぞれのヴォーカルなしのインスト・ヴァージョン2曲を加え、計4曲が収録されています。
また、ハウゴー&ホイロップは、現在ニュー・アルバムをレコーディング中との事。今度はどんな作品を届けてくれるのか楽しみです。

Yae シングル『名もなき君へ』(PCCA-70052)10/16発売
ハウゴー&ホイロップ・オフィシャル・ページ(英語)
The Music Plant(H&Hの日本でのリリース情報など)


3 Oct. 2003

ザ・チーフタンズ 最新作
『ダウン・ジ・オールド・プランク・ロード II』

待望のチーフタンズの新作アルバムがリリースされました。前作『ダウン・ジ・オールド・プランク・ロード』リリース時の予告通り、続編です。ナッシュヴィル録音で、アイリッシュ・トラッドとアメリカン・カントリー・ミュージック/ブルーグラスの融合。エミルー・ハリス、ニケッル・クリーク、ドッグ・ワトソン、ジェリー・ダグラス・・・などなど、カントリー系の大物ゲスト・ミュージシャンが多数参加。素晴らしいコラボーレションをたっぷりと聴かせてくれます。同じナッシュヴィル録音、同じコンセプトを聴かせるチーフタンズの代表作『アナザー・カントリー』(1992年発表/グラミー賞受賞)と並ぶ大傑作です。

一気に聴かせる豪腕ぶりはさすが。ドッグ・ワトソン他、今回のゲスト陣もオールスター戦さながら(松山晋也/ミュージックマガジン2003年10月号)

歌・演奏ともに寛いだ雰囲気が漂い、アイリッシュとカントリーの密接な関係が自然に伝わってくる好作品(飯塚達弘/CDジャーナル2003年10月号)

本作よりも軽妙酒脱で陽気かつ快活に、アイリッシュ・ケルトとブルーグラスなどのアメリカン・ルーツの親近関係を祝福してみせたアルバムを、僕は知らない。国宝級のホームラン、快心のアルバム(若林裕司/ミュゼ2003,September)

カントリーの巨匠たちと幸せな邂逅が収められた一枚。ゴキゲンなサウンドが楽しい(ラティーナ2003年10月号)

DVD『ダウン・ジ・オールド・プランク・ロード・コンサート・イン・ナッシュヴィル』
昨年9/30アメリカ・ナッシュヴィルで行われた「ダウン・ジ・オールド・プランク・ロード」リリース記念コンサートの様子を収録したDVD『ダウン・ジ・オールド・プランク・ロード・コンサート・イン・ナッシュヴィル』も同時リリースされました。このコンサートには、アルバム「ダウン・ジ・オールド〜」プロジェクトに参加したカントリー系のゲスト・ミュージシャンたち(エミルー・ハリス、ジェリー・ダグラス、アリソン・クラウス、ギリアン・ウェルチ、デル・マッコリー・バンド…)らが集結。チーフタンズ版『オー・ブラザー』コンサートといえる豪華さで、こちらも素晴らしい内容です。
このコンサートの後、10/16にチーフタンズのデレク・ベル(ハープ)が他界。このコンサートがデレクの最後のステージとなりました。