■チャボロ・シュミットについての雑記(by 主催者)
●行方不明だった豪腕ギタリスト!
こんな荒くれのギター弾き、見たことない!これがチャボロを知った時の最初の衝撃だった。2003年に初来日。その後計5回ほど来日したが、しばらく空いて10年ぶりの来日だ。というのも2010年頃以降、5年ほど、行方不明、雲隠れだった(本当)(ファンファーレ・チョカリーアのマネージャーからもチャボロがどこにいるか知らないかい?と問いさえあった)!!
久々にアルバムも発表し、遂にこのジャズ・ワールドビートに登場となったのだ。どの来日も楽しくて、眼を見張る豪快な演奏を聴かせてくれるチャボロ。人情派で、熱血漢。とことんまで掻き鳴らすギター弾き。果たして、今回はどんなゴキゲンな演奏を楽しませてくれるのだろうか。
●チャボロはジプシー!
チャボロは生粋のジプシーそのものである。
千年以上に渡って、北インドからヨーロッパに向かって漂流してきた漂白の民、かつては幌馬車、近年はキャンピングカーで、常に旅をしていたというジプシーの民。チャボロは行方不明の間も、5年ぐらいあちこち旅をしていたにちがいない。北フランスやヨーロッパ北がこのジャンゴ音楽、マヌーシュ・スウィング発祥の地である。かつて、チャボロの出身地、フランス北東ストラスブールを訪ねたことがある。1000人以上のジプシーたちが定住する地域。一帯はギタリストだらけ、チャボロはここで、誰からも一目置かれる、圧倒的No 1ギタリストとして大人気者だった。
●「マヌーシュ・スウィング」って何?
チャボロの音楽は、ジプシー音楽とスウィング・ジャズが融合した陽気で気ままなギター音楽、マヌーシュ・スウィングである。強力なリズムとノスタルジックなメロディ。このスタイルは1920~30年代にジプシーギターの元祖、ジャンゴ・ラインハルトが生み出した。ジャズの名ギター、ジョー・パスはこのジャンゴに捧げた「フォー・ジャンゴ」を、MJQは名曲「ジャンゴ」(ミルト・ジャクソンのバイブ)を創った。ジャズ界への影響は果てしない。ジャンゴのフォロワーも数知れない。チャボロはテクニック的にも人物のキャラクター的にも、ジャンゴを彷彿させる後継者、だと思う。
●映画の主役
大やけどで指を無くすも新しい奏法を生み出したジャンゴ・ラインハルトの波乱の人生はウディ・アレン監督により映画「ギター弾きの恋」として綴られているが、一方、チャボロもトニー・ガトリフ監督により映画「僕のスウィング」で主役を務め、その豪快辣腕ぶりを発揮している。そう、豪快そのもののギターなのである。
●チャボロの驚愕の逸話 とにかく奔放!
◆弦を切る
ある公演では勢い余ってギターの弦を切る(よくある)。一度に6回も切り、張り替えが間に合わず。最後は5弦でかき鳴らしつづけた。当然、大受け。過去の来日時の出来事。一旦、ステージに現れるも、楽器を持たずに唐手で登場!手ぶらにハっと気がつき、聴衆に両手を振って袖に戻ってくる。(ハア?)(ホテルに置いてきたって!)(あまりの奔放、横道ぶりにスタッフ唖然)。
◆神のお告げ
また、別の公演では開演間近かに。チャボロ口角泡飛ばし、「今、神さまのお告げがあったよ。新しい靴でなきゃ、演奏ができないんだ」と宣う。「神様の???」しょうがない、百貨店靴売り場に通訳を伴いそそくさと。イタリア製の一番かっこよくて、しかも売り場で一番高い靴をゲット。(しかし一円も手にしてないところが泣かせる)。まいった、チャボロには眼が離せない。しかし憎めない愛すべきチャボロ。(おしゃれさんチャボロ)
◆情の厚い寂しがりや
或る時は、打ち上げで盛り上がり、帰りたくないとダダこねる。まわりは皆なとっくに店を出て、レストランはクローズ、椅子もテーブルも積み上げられて片付く中で、チャボロったら!たった一人になってしまってもまだ、飲んで動かない。愛情たっぷりの寂しがりや。最後は店の灯りも消され、暗闇で音楽に合わせ、ひとりふらふらダンスする図。天下一の頑固者。(タラフ・ドゥ・ハイドゥークスのマネージャー曰く、タラフの12人かかってもチャボロひとりに負ける)しかし、チャボロがいる場は皆が笑顔になる。
◆チャボロは譜面を読まない。
音楽院で学ぶとは違い、幼少の頃から耳で聴いた音を独学で覚え、スウィング・ジャズと混ざり、人と分かち合う喜び、陽気さを、魚が跳ねるように、奔放に自由に奏でる。
人生の痛みや怒り、歓喜を爆発させる。人間の愛、人なつっこさ、生きる力に溢れているギター、それがチャボロなのだ。
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ゲスト
渡辺香津美(ギター)
太田惠資(ヴァイオリン)
◆チャボロ・シュミット単独公演日程
7/4(水)ビルボードライブ大阪
7/5(木)所沢市民文化センター ミューズ キューブホール
ゲスト:太田恵資(ヴァイオリン)
7/8(日)穂の国とよはし芸術劇場PLAT
7/9(月)ビルボードライブ東京
<2018年来日記念盤>
チャボロ・シュミット・カルテット
『夜のメランコリー』
VIVO-242
定価:2,700円+税
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