【新生ペンギン・カフェに寄せて】
懐かしくも新しい。
なかにはこれはカバー?と思えるほどPCOのレパートリーに近いものもあるけど。
やはりサウンドは若くて瑞々しい。
最後のトラック「コリオリ」が、サイモンへの追悼のように聴こえます。
坂本龍一(ミュージシャン)
ペンギン・カフェは、音楽におき、かつて他には無い、ユニークな地位を占め続ける。
エスニックでチャーミングで、包容力があり、驚きに満ち、魅惑的で、温かく、確か
であり、控えめで、忘れ難い。これぞ真の友人だ。
ブライアン・イーノ(ミュージシャン)
こういう音楽は、大好きな純喫茶の古くて壊れかけた有線のスピーカーから流れて欲しい。
ちょっと気になってネットで検索。え?!?ペンギンカフェだったの?という経路を踏みたい。
そういう出会い方が似合う音楽。父君の音楽がそうであったように。
ゴンザレス三上(ミュージシャン)
ゴンチチは、彼らが当時流行っていたから、環境音楽としてとらえられ、レコードを出すことが出来た。そして今ペンギン・カフェとして、脳内麻薬度10倍になって帰って来てくれた。改めて言おう「ありがとう!」
チチ松村(ミュージシャン)
アイディアとユーモアをもって、ひたむきに音楽に献身するアーサー。
一昨年ロンドンのアーサーのスタジオに行ったときに「ペンギンカフェの新曲だよ」と演奏してくれた。
父サイモン譲りのシャープな視線でいつでも僕らを歓迎してくれる英国紳士は、新しいペンギン・カフェを創り上げた。
伊藤ゴロー/MOOSE HILL, naomi & goro(ミュージシャン)
美しい森林を、散策しているような体験。
時に期待通りの癒しを。
時にこちらの想像力を裏切る様な意外性をもって
聴く人の感性を、生き生きとさせ、潤す。
鑑賞。そんな行為を越えて、広々とした風通しのよい世界へと
心身を連れ出してくれる音楽。
Salyu(ミュージシャン)
僕はすれ違う。
街中で、
カフェで、
ベッドの中で、
山の麓で、
人ではない、何かと。
彼はいつでも冗談を独りごちている。
やくしまるえつこ(ミュージシャン)
僕はサイモンがいた時代をリアルタイムで聴いていたわけではないのに、「A Matter Of Life」に、なぜか懐かしさを感じ、涙が出てしまいました。大分前から、あのアートワークのペンギン人間(細いほう)になるのが夢でした。今はこの、いつも通りの、前向きで、ちょっと不思議でかなりクールなペンギンカフェの音に包まれて、彼になった気分を満喫しています。
永井聖一(ミュージシャン)
蘇ったP.Cを聴く。1980年代初頭の東京に、ぼくのこころは還ってゆく。ワールドスタンダードというグループの、その音楽を始めようと思った、蒼いこころに還ってゆく。この奇妙に懐かしい音楽。ぼくはすぐに取り憑かれ、おかげで様々な音楽を好きになった。けれど、こころは還ってゆく、一番好きだった音楽に。P.C.OからP.Cへ。祝再生。
鈴木惣一朗(ミュージシャン)
多くの人に愛される父親の老舗ブランドを息子が復帰させることは容易なことではありません。70年代に音楽のジャンルの垣根を軽々と越え、現代音楽の方法論で世界中の民族音楽を時々ユーモラスに取り込んだのがサイモン・ジェフスのペンギン・カフェ・オーケストラという唯一無二の企画でしたが、1997年に急死したサイモンの息子アーサーはそのPCOの基本サウンドを尊重しつつ、彼自身の個性をその上に乗せ、新たなペンギン・カフェ(オーケストラは落としました)を誕生させたのです。限りなくストレス抜きでしかも知的な刺激を適度に持った生活を夢見る私がとても心地よく聴く音楽です。
ピーター・バラカン(ブロードキャスター)
やさしいリズム、エキゾティックな香りがちょっとまじったメロディ、ユーモアいっぱいのアンサンブル。
軽やかだけど、深い味わい…独特の音符の息づかい……多くの通人に愛されながら名料理人の死によってしばらく閉まっていた小さな店を息子が見事に復活させた。祝再開店!!
立川直樹(プロデューサー/ディレクター)
知らないなかに懐かしいものが、馴染んだなかに新鮮さがないまぜになっている。
そうだ、いまの空気、2010年代の空気のなかに、ひとつの時代、’70-80年代のロンドンで漂っていた音楽の分子はしっかりと残っている。
アーサーがサイモンの遺伝子を、サイモンの生きていたものを育った環境のなかに持っているように。
ぼく、ぼくたちは、ここに現在でありつつ歴史をも聴く。
そして、きみ、きみたちにそれを聴きとってもらいたいとおもう。
小沼純一(音楽評論家)
ペンギン・カフェ・オーケストラ(PCO)というと、一昨年、新国立劇場で振付家デイヴィッド・ビントレーが発表したバレエ「スティル・ライフ」のことを思い出さずにはいられない。そこにはかつてビントレーがサイモン・ジェフスとともに制作しリメイクされたPCOの音楽が、全面的に使われていたからだ。
あのバレエの舞台では、地球規模での生態系においてすべての生き物が持つ威厳、そして人間の文明の危機についての哲学的・宗教的ともいえる考察が、優しくも雄弁に語られていた。それはPCOの音楽から発したものなのである。
そのときに思ったのは、PCOとは、決して過去の一時期の流行などではないし、ノスタルジーでもありえない。現代へと継承されるべき、ある種の思考のスタイルだったのだということだ。
サイモンの息子アーサー・ジェフスによって再結成されたPCOの音楽を聴いて、それは確信に変わった。アーサーもまたビントレーと同じように、PCOを「継承しなければならないもの」として考えたのだと思う。二代目が先代ののれんを借りたなどという生易しいものではないことは、今回のアルバムを聴けばわかる。どの曲もクラシカルな美しさに満ち、実験性を秘めながらもポップでみずみずしい。昔のPCOを知る人も、知らない人にも、大きな満足を与えてくれるに違いない、素晴らしいアルバムである。
林田直樹(音楽評論家)
温かみのあるサウンド、居心地の良いリズム、ジャンルを超えた意外な楽器の組み合わせ、そして、アコースティックでここまで出来るかと驚く高い演奏能力。新生ペンギン・カフェは、やっぱりそのユニークな音楽で驚かせてくれた。21世紀が忘れていた音楽は、ここにあるのだ。
片桐卓也(音楽評論家)
父サイモン・ジェフスから息子アーサー・ジェフスへと受け継がれた、ノン・ジャンル室内楽の遺伝子と脳内音楽地図。ペンギン・カフェという名のささやかな、でも誇りある王国は21世紀になっても存在していた。世界は大きく変化しても、どうやらこの王国だけは時の流れが(まるでエアポケットのように)泰然としているらしい。特使であるお抱え楽団が、私たちを不思議なその国へと誘ってくれる。
オヤマダアツシ(音楽評論家)
軽快に走る列車の窓から、過ぎていくのどかな田園風景を眺めているような気持ちになる。
昔味わった、あの不思議な心地よさを思い出しました。
桜井学(読売新聞)
生まれ変わったペンギン・カフェの音に身を委ねていると、
受け継がれた遺伝子の船に乗っているかの心地よさに
身体全体が包み込まれるようだ。
大鷹俊一(音楽評論家)
草原の真ん中に、青空に向かって真っ直ぐ伸びる階段がある。大きな蓮の花の池には、ぽっかり浮かぶ革製のソファー。そんな不思議な風景に私たちを運んでくれる、きれいな風みたいな音楽たち。
大竹サラ/パスカルズ(漫画家、ミュージシャン)
時に刺激的に、時にやさしく、アコースティック楽器が響きます。忙しい仕事の合間のひと時に楽しみたいアルバムです。特に、「Finland」のチェロの音色は秀逸、ぜひ聴いてみてください。「From A Blue Temple」の不思議な世界も素敵です。
佐瀬亨(弦楽器専門誌「サラサーテ」発行人)
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