推薦コメント・記事
生オケ・シネマ


















 チャップリンの映画は、いつも人の心にスポットライトが当たっています。そこに浮かび上がる光と影は人間の善と悪。このコントラストに大きなメッセージが込められています。しかし、このメッセージを押しつけるのではなく、笑いの中に包み込んで物語が進んでゆきます。
 例えば、効率を上げるために機械に頼るうち、どんどん機械に操られてゆく人間の価値を皮肉と笑いたっぷりに描いた『モダン・タイムス』。『独裁者』では権力に酔い、溺れ、落ちていく人間の悲しさを、笑いによって映し出しています。
 今回が第3弾となる生オケ・シネマで取り上げる作品は、『黄金狂時代』。この作品は、人間の欲のなかでも、生きてゆく上で切り離せない「お金」がテーマになっています。一攫千金を狙い、黄金を探す男。しかしそう簡単に黄金は見つからない。でも諦めきれない男達。黄金を探すことに必死になり、気がついたら自分の食べるものすらなくなり、死にそうなほどの空腹に追い詰められたとき、共に黄金を探し当て金持ちになろうと誓い合った仲間さえもが食べ物に見える幻覚に襲われる。この欲まみれの幻覚をリアルかつコミカルに描く場面は抱腹絶倒。そして、人間の欲は限りなく深く、自分の器を過ぎて求めるとはこんなにも醜いものかと考えさせられます。
 チャップリンの映画は、「どんなに時代が変わっても忘れてはいけないことがある」といつも教えてくれます。まさに僕等が次の世代へ伝えていかなければならないと強く思います。
 今回の公演でも、フル・オーケストラで奏でられる音楽が、映画の情景を更に膨らませてくれます。
経済優先の時代だからこそ、この生オケ・シネマ『黄金狂時代』を観てほしい。生のオーケストラの響きは、あなたの心を必ず震わせることでしょう。

山田雅人(俳優/タレント)



<これまでの推薦コメント>
■新日本フィルの生オケ・シネマ vol.1《モダン・タイムス》
■新日本フィルの生オケ・シネマ vol.2《街の灯》

ピーター・バラカン(ブロードキャスター)
小菅優(ピアニスト)
中野聡子(日本エレキテル連合/お笑い芸人)
青木眞弥(キネマ旬報編集長)
樋口泰人(boid/爆音映画祭プロデューサー)
白崎映美(歌手)
こぐれみわぞう(音楽家)
佐々木誠(映像ディレクター/映画監督)
安田佑子(アナウンサー/パーソナリティ/東京国際映画祭MC)

(敬称略)



チャプリンの『モダン・タイムズ』を大きい画面で、しかも本人作曲のスコアの生演奏付きで見た時、技術的なことはさておき、予想をはるかに越える感動を覚えました。この体験はぜひ多くの人に味わって欲しいです。
ピーター・バラカン(ブロードキャスター)



前回、生オケ・シネマ「モダン・タイムズ」のときはあまりの感動に涙が止まらなかった。名作「街の灯」でもその緊張感と皮肉なユーモアが音楽と一体になっていることは勿論、チャップリンの演技による愛くるしい表情とあらゆる感情を明確に表す音楽が一緒に心に訴えてくる。そして人間の思いやりという大きなテーマへ向かって、他のお客様と共に感動する素晴らしい時間が待っているに違いない。
小菅優(ピアニスト)



強烈なメッセージ性を孕んでいることなんて忘れて、ただただチャップリンが奏でるメロディーに腹を抱えて笑っていました。しかし物語が終わってしばらくするとそのメロディーはとてつもなく切ないものになっていました。でもまた思い出して笑ってしまうのです。
私達は見事にチャップリンの思うツボにはまってしまいました。
また、生演奏の緊張感が物語に物凄い臨場感を与えてくれて、まるで自分も登場人物のような感覚に陥り鳥肌がたってしまいました。ファンでなくても必見です!
中野聡子(日本エレキテル連合/お笑い芸人)



チャップリンが活躍した100年以上前から今日にいたるまで、どの時代の映画ファンと比較してもこれほどまでに贅沢な映画体験はそうないだろう。そう断言してもいいほど、特別なプログラムだ。
青木眞弥(キネマ旬報編集長)



『街の灯』は小さな映画に見えるが実は果てしない広がりを持つ。オーケストラの音はおそらくそれを証明してくれるはずだ。それとともにチャップリンの抱える闇の深さがスクリーンを覆うだろう。その暗闇に音は灯をともせるのか?スリリングな展開に期待したい。
樋口泰人(boid/爆音映画祭プロデューサー)



贅沢な時間だなあ。
モノはもうあんまりいらない。
こんな時間が人生を幸せにしてくれるんだなあ〜。
白崎映美(歌手)



人生はいかに素晴らしいものであるか、オーケストラの豊かな響きによって、より深く実感させられた、昨年の生オケシネマ。
今回特筆すべきは、視覚に障がいを持つ方も楽しめるよう、音声ガイドが用意されるとのこと、こんにちの技術の進歩も、愛をもってこうして使われてこそ活きるもの。
映画史上の傑作と名高い、愛と希望に満ちたこの美しい物語を、より多くの人々と共におおいに笑い、涙しながら、また贅沢な生演奏で楽しめるなんて、現代に生きる私たちへのご褒美のようです。
いまここに生きている幸せを、みんなで共に味わいましょう!
こぐれみわぞう(音楽家)



チャップリン映画全盛の1930年代、映画を観に行くということは今以上に「体験」だったと思います。
3Dそして4Dとよりリアルな「体感」にも力を入れている現在の映画館ですが、私には今ひとつ物足りません。
なんというか仕掛け前提なので「アタマ」でしか楽しめないのです。

昨年、新日本フィルの生オケ・シネマ『モダンタイムス』に行かせていただきました。
いや、驚きました!
ビンビン五感、そしてハートにも響き、全編ワクワクしてました。
これはまさしく公開当時の劇場でしか得られなかった「体験」の見事な再現。
素晴らしい時間と空間を堪能させていただきました。
今年はさらに傑作中の傑作『街の灯』を体験できるとあって今から興奮しております。
佐々木誠(映像ディレクター/映画監督)



生オケシネマの大ファンです。これは一度体験すると病みつきになります。映画祭や映画イベントの仕事をしていていつも思うのですが、映画は観る環境によって驚くほど良さが変わります。その作品が好きな方はもっと大好きになり、「以前DVDやビデオで観て、実はそこまででも…」という方も「あれ。やっぱり好きかも!」と 嬉しい発見があるのが最高の環境で観る生オケシネマです。それもチャップリンの作品の上映です。大画面、臨場感たっぷりの音楽と一緒に大勢で観る事で、皆で笑って泣けるのは何と楽しいことでしょう。昨年の「モダン・タイムズ」い続き、今年は「街の灯」で。今からとても楽しみです。 
安田佑子(アナウンサー/パーソナリティ/東京国際映画祭MC)