ダンカン・シーク:アメリカ、ニュージャージー州で生まれ、サウスカロライナ州で育つ。デヴィッド・シルヴィアンやブルー・ナイル、トーク・トークといった、英イギリスのニュー・ウェーヴ系のアーティストに影響を受けて歌い始める。ハワード・ジョーンズやウォーターボーイズなどでお馴染みのルパート・ハインをプロデューサーに迎えてアルバム『ダンカン・シーク』で1996年にメジャーデビュー。シングル「ベアリー・ブリーシング」がトップ20入りするヒットとなり、アルバムもゴールド・ディスクになった。1998年2ndアルバム『ハミング』をリリース。2001年、クラシック、ジャズ、ポップス、ワールド・ミュージックとを結ぶレーベル、ノンサッチに移籍。作詞に劇作家のスティーヴン・セイターを迎え、3作目となる最新作『ファントム・ムーン』をリリース。2001年の来日では、ツアー・メンバーでもあるギターのジェリー・レオナルドと共に弾き語りのアコースティック・ライヴを行った。
▼英国ニューウェーヴの香りを漂わせるダンカン・シークのルーツと魅力(岡村詩野)
3rd『ファントム・ムーン』(2001年)
本作で聴ける歌の数々には、何もかも超越して、遙か彼方の桃源郷に到達しようとするとする懐の深い眼差しがある。ただ雰囲気があるだけでなない、そんな上辺のムードを寄せつけない揺るぎない信念が、その汚れないヴォーカルにしっかりと宿っている。誰が何と言おうと、世の中がどうなろうと、自分は自分といったような強い意志が、儚げなアコースティック・サウンドの隙間からはっきりと漏れだしてくる。そこに震えにも似た感動を覚えるのは私だけではないだろう。
<岡村詩野/CDライナーより>
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