セネガルの音楽に根差しつつもそこだけに留まることのない多彩なバックボーンに裏打ちされた音楽性で、いい意味で典型的なセネガルらしさに縛られない独自の立ち位置を確立してきた“孤高の大物”と呼べる存在。セネガル音楽ンバラを基調としながらも、キューバ音楽、ブラジルのサンバ、ルンバ・コンゴレーズ、マンデ・ポップなどに繋がる豊かな多様性を感じさせるスタイルを完成させていたが、本作はそれが適所にゲストを迎えながらより明確に表現されたアルバムに仕上がっている。曲ごとのメリハリを強調した構成で、円熟の渋みとカラフルな音楽的持ち味がこれまでにないアングルで際立った作品となった。
(吉本秀純/解説より)