(1)や(3)では生ドラムとパーカッションが織りなすビートがキモになっている。クンビアトン(クンビア調レゲトン)っぽい(8)、マグレブのグナワを用いた(13)、アフロビート×ジプシー・ブラスといった感じの(14)などもあって、楽曲の幅広さは過去最高。BBBとしてのオリジナリティーを確立した『NU★MED』を経て、さらなる実験が試みられている感じだ。オルタナティヴなセンスもチラホラ。曲ごと・フレーズごとに表情を変えていく、実にBBBらしいアルバムとなった。
世界有数のメルティングポットであるNYという町の匂い。各地でローカル・ミュージックとアーバン・ミュージックの融合が進む21世紀以降の音楽的状況。新地中海主義という視点。いくつもの要素が絡み合いながらも、それを最高にフレッシュなマージナル・ダンス・ミュージックとして提示した今作は、まさに最先端のアーバン・イミグラント・アルバムと言える。
(大石始/ライナーより)
■プロフィール:NYのアンダーグラウンドのライヴ・シーンで活躍するイスラエル人3人が中心となり結成される。2005年にアルバム『バルカン・ビート・ボックス』でデビュー。バンド名から想像できる通り、ジプシー、クレズマー、アラブ、トルコ、ブルガリアン・ヴォイスなど様々なバルカン音楽、とDJ/サンプリング・カルチャーの音楽(ヒップホップ、ラップ、レゲエ/ダブ)などを混ぜ合わせ、肉体のビートとエレクトロニクスのビートを融合させたサウンドを聴かせる。ライヴ・バンドとしての評価が高く、世界中のフェスに引っ張りだこ。仏のマヌ・チャオ、米のフィッシュボーンの次世代に来るミクスチャー・ロック・バンドともいうべき大注目の存在。2008年に夏に初来日。日比谷野外音楽堂で公演を行った。