圧倒的な存在感で心を包み込むヴォーカル。その奥深くには美しさ、切なさ、そして優しさがある。大ヒットの新作『オフィーリア』をリリースした、元10,000マニアックスのヴォーカリスト、ナタリー・マーチャント。98年の初来日公演はナタリー本人の急病により実現されなかったが、「日本公演は私の夢」という本人の熱い希望もあり、1999年にようやく来日を果たした。
80年代、米カレッジ・チャートの若い世代を中心に絶大な支持を得た大ヒット・グループ、10,000マニアックスの看板アーティスト(ヴォーカル/キーボード/メイン・ソングライター)として活躍した後、ソロとなってますます才能に磨きが掛かり、その魅力をいっそう発揮。トリプル・プラチナ・アルバムを獲得したソロ1作目『タイガーリリー』(1995)。そして、ダニエル・ラノワ、ギャヴィン ・ブライヤーズら30人を越えるゲストが参加した3年ぶり2作目に当たる最新作『オフィーリア』(1998)をリリース。いずれも、完成度の高い傑作として絶賛されている。98年のリリス・フェアで、最大の注目を集めたのがナタリーの参加であった。主宰者のサラ・マクラクランとともにダブル・ヘッドライナーとして全米公演のほとんどをまわり、ナタリーの人気の高さを改めて証明し、ライヴ・アーティストとしての評価を揺るぎないものにした。
写真は、1999年の来日公演の様子
ナタリー・マーチャントとルナサ(2010.2.1 @グラスゴー)
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『マザーランド』(2001年)
3年ぶりのオリジナル・アルバム。
ナタリーの歌、ソングライティング、サウンドは、相変わらず流石!!その高い芸術性に、共同プロデューサーであるTボーン・バーネット(エルヴィス・コステロ、映画「オーブラザー!」サントラ盤など)の職人的な巧さが加わり、どの曲も完成度が高く聴きどころ多し。 |
『オフィーリア』(1998年)
前作がロング・セラーとなったため、リリースまでに3年もの間があいたという2作目。前作のシンプルなサウンドから一転して、30人を超える豪華ゲスト陣(ダニエル・ラノワ、ギャヴィン・ブライヤーズ、エンディア・ダヴェンポート、ロクア・カンザ)による重厚ででヴァラエティに富んだサウンドを聴かせ、ソングライターとしてはもちろん、プロデューサー感覚も優れていることも証明した。ナタリーの10,000マニアック時代を含む全作品中、間違いなく最高傑作。 |
『タイガーリリー』(1995年)
基本的に同じメンバーによる、ドラム、ベース、ギター、キーボード(ナタリー)というシンプルな4人編成でレコーディングされたソロ・ファースト・アルバム。ソロとなってナタリーのソングライティングはますます奥行きが増し、シンプルなバンド・サウンドは一層それを引き立ている。ここから4曲の連続シングル・ヒットが生まれ、本作はトリプル・プラチナ・アルバムを獲得。名曲、名演揃いの名盤。 |
ビデオ『オフィーリア』
現在、輸入盤で発売されているビデオ版『オフィーリア』は、アルバムのコンセプトがより伝わってくるのでCDを愛聴している人は必見。ナタリーは女優顔負けの演技を披露。CDのアルバム・ジャケットに写っている、女優(表紙)、娼婦、修道女、政治家、人間砲弾のサーカス女、精神病患者など7人の女性(オフィーリア)を演じ、ビデオ・クリップというより映画のダイジェスト版のような作りとなっている。 |
www.nataliemerchant.com
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