モリアーティの世界
●1930年〜1950年代のアメリカの音楽。
ジャズ、戦前ブルース、ジャグ・バンド、ブルーグラス、フォーク、カントリーなどが、モリアーティの音楽のルーツだが、モリアーティのコンセプトは「どこにもない架空のアメリカ音楽」。
●1930年代 ドイツのキャバレーの雰囲気。
ローズマリーの歌は、どこかしらマレーネ・ディートリッヒ(映画『嘆きの天使』)を思わせる。シャルルのドブロの音は、ミュージカル「三文オペラ」の雰囲気を作り出している。
●小説『不思議の国のアリス』
ルイス・キャロル著の児童文学。1865年出版。
<白ウサギを追いかけて、人間の言葉を話す動物やトランプの形をしている人間が住む>不条理なファンタジーの世界に迷い込んだ少女アリスの物語。ヴォーカルのローズマリーは、不思議バンド「モリアーティ」に迷い込んだアリスか?
●デイヴィッド・リンチ
リンチ監督が映画で描くアメリカの片田舎は、精霊や妖精や魔物が住む摩訶不思議な世界。森をバックに撮影したモリアーティの写真には、メンバーと一緒に謎の怪物(?)が写っている。モリアーティはリンチ・ワールドにも通じる。
●ビート・ジェネレーション(ビートニク)
N.Y.を活動する作家、ジャック・ケルアック(『路上』1957年)、アレン・ギンズバーグ (『吠える』1965年)、ウィリアム・バロウズ (『裸のランチ』1959年)らを中心としたグループのムーヴメント。50年代後半から70年代前半にかけて米国の若者文化に大きな影響を与え、特にヒッピーから熱狂的な支持を受けた。
●小説『路上』(原題:On the Road)
作者自らの放浪体験を元に書き上げた自伝的内容の小説。ビート・ジェネレーションの傑作。モリアーティのバンド名は、主人公「ディーン・モリアーティ」に因んで付けられたという。いつも旅する“架空の放浪バンド”というモリアーティのコンセプトにも多大な影響を与えている。
●探偵小説『シャーロック ・ホームズ・シリーズ』
長編『恐怖の谷』(1915)にホームズ最大の宿敵「ジェームズ・モリアーティ元数学教授」が登場。バンド名はこの男の名前から付けられたという説も。
●オスカー ・ワイルド(1854〜1900)
ヴィクトリア朝時代を代表する英国の小説家、劇作家。代表作に、戯曲『サロメ』(1891)、小説『幸福の王子』(1888)。モリアーティのステージは、メンバー全員がそれぞれの役を演じていて、まるで演劇を観ているようだ。
影響を受けたもの
[ミュージシャン]
ビリー ・ホリデイ、ペギー ・リー、ジョニー・キャッシュ、カーター・ファミリー、ソニー・テリー、ジョシュ・ホワイト、フレッド・マクダウェル、ジョーン・バエズ、ボブ ・ディラン、トム ・ウェイツ、ブラー、ザ ・フー、ジミ ・ヘンドリックス、ザ ・キュアー、U2、レディオヘッド、アリ・ファルカ・トゥーレ、クルト ・ワイル、ドヴォルザーク、パーセル、アルヴォ・ペルト、ニーノ ・ロータ…
[音楽のジャンル]
ジャズ、カントリー、ブルース、フォーク、ロック、アフリカ音楽、キャバレー・ミュージック、クラシック、現代音楽…
[人物]
マレーネ・ディートリッヒ(女優兼歌手)、ルイス・キャロル(作家)、ジョン・スタインベック(作家)、アーサー・コナン・ドイル(作家)、ジャック・ケルアック(作家)、オスカー・ワイルド(作家)、アンセル・アダムス(写真家)、マン・レイ(詩人)、マルクス兄弟(コメディアン)、フェデリコ・フェリーニ(映画監督)、デイヴィッド・リンチ(映画監督)
[その他]
「ジョーン・バエズがある晩につま弾いた1957年製のアコースティックギター」「アリ・ファルカ・トゥーレの演奏するドブロ」「過ちと誤解」「バンドメンバー同士の兄弟的な親愛の情と競争心」「トーンを抑えた言葉の暴力と怒り」「一体化して音楽を演奏するということに対する5匹の生物の熱烈な欲求」「背中に背負った荷物だけをよりどころに方々をめぐる旅」「誰しも愛情を持っているもの」「悪魔的な心」。
|