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来日記念パンフレット/通信販売のお知らせ

テレビ、FMで公演のもようを収録しておりますが放映日は未定です。決定しだい告知致します。

アイルランド、ルーマニア、スペイン/バスクというヨーロッパ辺境から世界の音楽シーンに躍り出た、トップの3組(ケルト音楽のアルタン、ジプシーのネイティヴ音楽集団タラフ・ドゥ・ハイドゥークス、バスクの天才アコーディオン奏者ケパ・フンケラ)が集結したヨーロピアン・ルーツ・ミュージック・フェスティバル!!
あいにくのお天気をものともせず盛り上がり、最後は観客をステージ上へ誘って、3組で15分にも及ぶ長いセッション&ダンス大会となった。

「アルタン祭り」5/21(日)日比谷野外音楽堂
出演:アルタン(18:00 start)、タラフ・ドゥ・ハイドゥークス(16:00 start)、ケパ・フンケラ(17:00 start)


「アルタン祭り前夜祭」トーク&ミニ・ライヴ)5/20(土)青山CAY
司会:ピーター・バラカン 出演:アルタン、タラフ・ドゥ・ハイドゥークス、ケパ・フンケラ

●アンケートより

*日本人は結構音楽を真面目に聴きすぎている部分があると思う。アルタン祭りの最後にあったような、音楽に合わせて踊ることの快感性、猥雑性をもっと楽しむべきでしょうね。コンサートのタイトルも「祭り」なんだし、元々彼らの音楽も日常の暮らしに密着したものから派生したものなんだから。(30代前半 男性)

*世の中こんな素敵な音を奏でる人たちがいるんですね。至福の一時でした。心も体も解放された感じです。思わず笑顔。この場に居ることができて幸せです。ありがとう!会場の皆が笑顔で踊っているのもいいですね。(30代前半 女性)

*屋外での心地よさと、すばらしいアーティスト達に感動しました。(20代前半 女性)

*ケパは想像以上の演奏、内容で、ジャバラの使い方など素晴らしかった。売店で全アルバムを購入しました。(40代前半 男性)

*ケパのバンドのうさぎのもちつきみたいな楽器(チャラパルタ)素敵でした。ハンサム二人組が楽しく踊っているようにしかみえないのに…。(20代後半 女性)

*タラフの素晴らしさにただただ感嘆するばかり。すごいひとたちですね。アンコールの「チカラタ・チキチァ」の15分強に及ぶ熱演は、最近観たステージでは出色の出来でした.あんな楽しいステージはそんなにはないです。〔男性)

*アルタン初めて観ましたがいやぁスゴイグルーヴですね。マレードのヴォーカルももちろん素晴らしかったですが、5人揃ってのダンスチューンには血がたぎりまくりでした。打楽器がなくてここまでというか、全楽器打楽器というか。(30代前半 男性)

*途中の雨が演奏で晴れるほど素晴らしかった。(40代前半 女性)

*ケパのアクロバティックな演奏も驚きの連続だし、タラフのパワーには圧倒されっぱなしアルタンはウットリ&ウキウキでした!(30代前半 女性)

*雨が降ったり風が吹いたりしなければ野外で演る意味ないでしょう!ワールドミュージックはこうでなければ。(20代後半 男性)

*アルタンは今年2回目です。2年前は脳腫瘍の手術前で、頭痛とひどいふらつきで耳も聴こえないで、やっと行ったのですが、手術も成功し、再びアルタンのコンサートに来ることができてとても嬉しく思います。今も片耳は失聴し、補聴器を使用して参加していますが、耳以外にも響いてくるもの伝わってくるものがあります。いい音楽は、やはりいいですね。(40代前半 男性)

*日比谷にいるというより地球にいると感じました。(女性)

*音楽で遊べるってなんて楽しく幸せそうなのだろうと関心・感動・羨望の波が次々とおしよせて、とてもじっとしていられませんでした。(20代前半 女性)

・・・この他にも、たくさんの感想が寄せられました。ご協力ありがとうございました。


タラフ・ドゥ・ハイドゥークス
Taraf De Haidouks


ケパ・フンケラ
Kepa Junkera

アルタン Altan

フィドルを中心とした躍動感溢れるダンス・チューン。神秘的な魅力を持つゲーリック・ソング。ケルトの伝統が強く残る地ドニゴール出身のアイルランド音楽最高峰バンド。新作『アナザー・スカイ』を携えて、待望の2年ぶりの来日。全国ツアー終了。

天然野生美と哀愁味あふれる強烈な音色。超絶技巧による超多彩なアンサンブル。20〜70代のルーマニアン・ジプシー13名からなる、ジプシー・ブラス・サウンドの真打ち、満を持しての初上陸。
単独公演終了(東京/大阪)
トラッドでアヴァンギャルド!!スペイン/バスク音楽の新時代を築いたトラッド・シーンのピアソラこと、ケパ・フンケラがついに初来日。比類なき即興、早弾きテクによる度肝を抜かれるアコーディオン・プレイは必見です!
単独公演終了(東京)


アルタン祭り/ピ−タ−・バラカン

 いま世界のどこを見てもル−ツ・ミュ−ジックが一番元気であることは疑いの余地はない。「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」のアルバムと、それを更に現象と言わなければならないほどのものに押し上げた映画の成功で、商業主義的なヒット曲以外のポピュラ−音楽の面白さに目覚めている人がどんどん増えている。そう考えると、この「アルタン祭り」は今年の最大のハイライトの一つになると思う。ル−ツ・ミュ−ジックの人気を定着させたのはアイルランドだが、ケルト音楽の一流グル−プが多い中で、アルタンは実力と品の良さが合わさった別格の存在だ。3度目の来日を果たす彼らのヴォ−カリスト、マレ−ド・ニ・ムイ−ニ−の歌にある素朴な色っぽさも聴く度に増す魅力だ。
 今回の組み合わせもまたとても面白い。ル−マニアのタラフ・デ・ハイドゥクスが展開する本物のジプシ−音楽はワイルドでア−シ−でドキドキさせるものだ。野外のライヴにはもってこい。そしてバスク地方の名アコ−ディオン奏者ケパ・フンケラはここ数年で僕が最も気に入ったミュ−ジシャンの一人で、彼の演奏が生で聴けること自体がもちろん嬉しいが、彼が触媒となって他の出演者の間でも何らかの「化学反応」が起こるのでは、というちょっとした期待もある。とにかく見逃すことが許されないコンサ−トになることは確かだ。会場でお会いしましょう。

アルタン祭り/松山晋也(タワーレコード「ミュゼ」vol.24 3/20発行より)

 アルタン、ケパ・フンケ、そしてラタラフ・ドゥ・ハイドゥークス。この三つを同じステージで次々と観れるというんだから、ルーツ・ミュージック・ファンにとってはまさに夢のようなイヴェントと言っていい。今年の《アルタン祭り》は、題して「ヨーロピアン・ルーツ・ミュージック・フェスティヴァル」。看板に偽りなし。現在のヨーロッパのルーツ・ミュージック・シーンでも人気・実力共にトップに立つ3グループをそのまま根こそぎ連れてきて競わせるという荒技である。偉い! さすがプランクトン。というわけで、ここではその3グループの近況も含めた紹介を。
 まずアルタンだが、この2月に2年半ぶりのニュー・アルバム『アナザー・スカイ』をリリースしたばかり。もちろん国内盤も3月に出る。この新作、ひとことで言うと、ラヴリー&ブリリアント。ヴァージンに移籍してからの過去2作品は、いずれも肩の力が抜けたような開放感に満ちた作品となっていたが、今回はそうした明るいトーンが一段と強まり、淡い色彩感と愛らしさが全面に押し出されたものになっているのだ。具体的には、ヴォーカル・チューンの増加が最大の変化だ。これまでのアルバムでは、だいたい3割歌もの、7割ダンス・チューンというのが普通の構成だったが、今回はなんと計13曲中8曲が歌ものになっているのだ。「私たちはアイリッシュ・ダンス・チューンのスペシャリストとして一般的に認識されていると思うけど、もっと違った能力も持っていることを示したかったの。そこで今回は、歌ものにウェイトを置いた作りにしたわけだけど、それは、より広範囲のファンを獲得したいというレコード会社の思惑や、ファンからの要求にも合致するものだったわけです。前作『ラナウェイ・サンデイ』で歌ものが増えて(全体の約半分)、とても好評だったし」。リーダーにしてヴォーカリスト/フィドラーのマレード・ニ・ウィーニーは、僕からのEメイル・インタヴューに対して、こう答えてくれた。こうしてスタッフが総がかりで“いい歌”をリストアップし、選曲が行われたという。個人的に最も感銘を受けたのは「1万マイル」。トラッド・ファンにはニック・ジョーンズやジューン・テイバーなどの名唱でよく知られたこの曲、これまでに色んなポップ・シンンガーがカヴァしてきたが、今回のアルタン・ヴァージョンは非常にオーソドックスなスタイルながらもこの曲の持つ深い滋味をよく伝え、同時にマレードの人間としての優しさや品性が滲み出たものとなっている。その他にも、天才スティーヴ・クーニーの書き下し曲とか、ボブ・ディランのカヴァとか、どの歌も言うことなし。実は最初ざっと聴いた時は、ちとおとなしすぎるなあと思ったのだが、何度も聴くうちに、これこそかの『アイランド・エンジェル』以来の傑作じゃないかと思うようになった。メンバーの現在の幸福感(マレード以下6人中4人が新婚さん)がそのままストレートに表出された夢見るような作品だ。
 続いてケパ・フンケラ。今まさに、バスクのというよりも、ヨーロッパを代表するジャバラ奏者となった剛腕男。あのカルロス・ヌニェスも、来日時しきりに「ケパは凄い」と嫉妬まじりに語っていた。彼の場合、トリキティシャ(バスクのダイアトニック・アコーディオン)のテクニックがまずもって驚異的なわけだが、伝統に深く根差しながらも常に新しい世界を探求する冒険心という点で、他を圧倒している。87年のデビュー・アルバム以来、これまでに計8枚のアルバム(内2枚はデュオ名義)を発表しているが、ただのトラッド・フォークと呼ぶべき作品はほとんどない。アレンジにも使用楽器にも通常のトラッドでは考えられないようなヒネリと実験心が発揮され、ポップ・ミュージックとしてのトラッドの実効力の限界に挑戦するようなイマジネイションの激しい跳躍がそこかしこに認められる。妥当かどうかは別として、一部のマニアが彼のことを“トラッド・シーンのピアソラ”なんて呼ぶのも、心情的にはとてもよくわかる。幸い、ケパの想像力の豊かさと驚異のテクニシャンぶりを効率良く理解し楽しむための格好のサンプルが、つい最近オルター・ポップから出た。ピーター・バラカン氏が選曲・監修したベスト盤『トリッキー!』だ。過去8作品から様々なタイプの楽曲を計17曲を選び、ケパ本人がマスタリングと解説を担当するなど、ベスト盤としてはこれ以上のものはないと言っていいほどのブツだ。来日公演の予習復習のための必聴盤ということで、ひとつ。
 そしてタラフ・ドゥ・ハイドゥークス。なんだかんだ言っても、やっぱこれが今回最も注目を集めそうな雲行きではある。嵐を呼ぶ「義賊楽団」。音楽や映画など、ロマ(ジプシー)の文化はここ数年、世界中で急速に人気を集めているわけだが、中でもこのルーマニアのリアル・ロマ・バンドは、絶対的な「本物」の凄みで、聴く者すべてをことごとくねじ伏せてきた。欧米ではもう完全にブレイクしており、昨年はアメリカのノンサッチ・レーベルと契約、とりあえずベスト盤がリリースされた。ちなみにこのアルバム『タラフ・ドゥ・ハイドゥークス』(ワーナー)、前衛音楽シーンを疾走し続けるクロノス・クァルテットのリーダー、デイヴィッド・ハリントンらが選曲したもので、タラフにすっかり魅せられたクロノスは、この4月にリリースされる新作『クロノス・キャラバン』(ワーナー)でもタラフをゲストに迎え入れ、共演を果たしている。
 タラフの出身地、そして今なお活動の拠点となっているのは、ルーマニアの首都ブカレストの郊外にあるクレジャニという村である。このクレジャニ、昔からロマ音楽家が多く住む村として有名だったようで、タラフのほとんどのメンバーも、ここで数百年続いてきた職業音楽家の家系の一員である。ルーマニアのロマ社会では、音楽を生業とする者たちはラウターリと呼ばれ、他のロマたちよりも尊重される。それは、ルーマニアの社会が、結婚式や洗礼式、葬式といった様々な伝統儀式において、ラウターリによる演奏を必要とするからだが、一般のルーマニア人から差別され疎まれがちなロマの中にあって特殊なポジショニングを誇示する彼らに、芸能者としての始源を見ることも可能だろう。
 その音楽は、ルーマニアの民族音楽とロマ独自のスタイルを縦横の軸にして、時代や環境と共に自在に変化してきた。周りから求められる音を貪欲に取り入れ続け、一般人の日常生活の中で最も実効力のあるパワフルなスタイルとして常に研ぎ澄まされてきたのだ。堅固な連続性と個性の中での融通無碍さ、それがリアル・ロマたるタラフ・ドゥ・ハイドゥークスの強さである。とんでもなくノイジーで猥雑で荒々しいサウンドだが、間違いなくここには、ひとつの「洗練の美」がある。山本耀司が昨年のパリ・コレクションで音楽担当兼モデルとしてタラフ以下数組のロマ・バンドを起用したのも、この「洗練の美」への敬意からではなかったろうか。タラフのこのあたりの魅力は、来日公演(別の日に単独ライヴもあり)でしかと確認できるはずだ。また、最近バップから出たヴィデオ『タラフ・ドゥ・ハイドゥークス』では、彼らのクレジャニでの日常生活も紹介されてたりするので、熱心なファンには一見を薦めたい。
 というわけで、3大怪獣の激突は5月21日午後4時。日比谷野音にて。気合を入れて待ちたい。