●アルタン
マレード・ニ・ウィニー&フランキー・ケネディ/北の調べ
アルタンの発端となった83年のデュオ作で永遠の名盤。のちの録音以上にストイックな演奏が印象的だが、曲目的にもマズルカやジャーマンといったドニゴール独特のダンス曲が取り上げられている。そしてこの上なく清楚なマレードの無伴奏の歌。あのエンヤ(シンセ)やキーラン・クランも参加しているが本作は二人ならではの音楽だ。
マレード・ニ・ウィニー&フランキー・ケネディ/アルタン
(MSI MSI30012)1987
“ALTAN”はタイトルで本盤はデュオの2作目だがドーナル・ラニーのプロデュース(ボウラン等も)によりタイトで洗練された音を聴かせる。参加ミュージシャンにはキーランに加えマーク・ケリーも。つまりほぼバンドのアルタンなのだが、本作のサウンドはややドーナル的過ぎるかも。「私のお見合い決まりそう」は不滅の名唱。
ホース・ウィズ・ア・ハート
(MSI MSI30003)1989
フィル・カニンガムのプロデュースにより圧倒的にアーシーでエキサイティングなサウンドに仕上がったバンド名義の第一作。マレード、フランキー、キーラン、マークに加えてポール・オショーネシー(フィドル)が参加しダブル・フィドルとなった。「カム・イェー・バイ・アトール」のようなスコティッシュ・チューンも味わい深い。
レッド・クロウ(MSI GLCD1109)1990
メンバーは前作と変わらないが、本作には前作以上にも彼らの生き生きした音楽がそのまま捕えられている(プロデュースはP.J.カーティス)。「イエロー・ティンカー」でのもの凄いスピードのマレードとフランキーの掛け合い。この人懐っこく土臭い音こそがアルタンだ。「峡谷に住む黒髪のモリー」の甘美な歌声も実に印象的。
ハーヴェスト・ストーム(MSI GLCD1117)1992
前作のメンバーにキーラン・トゥーリッシュ(フィドル)を加えた6人組、トリプル・フィドルの編成で聴かせる92年作。中でもタイトル曲のスリリングなリールのメドレー(Drowsy
Maggie〜Rakish Paddy〜Harvest Storm)は正に白眉。ダヒーやドーナル、トミー・ヘイズ、リアム・オ・メンリー(ディジェリドゥ)もゲスト参加している。
アイランド・エンジェル(MSI GLCD1137)1993
ポールが抜けてフィドル2本に戻ったが、ダヒが正式メンバーに加入、ゲストでダーモットやドーナル達が参加した一作。これはフランキー最後の作品となったが、演奏の密度は素晴らしくやはり彼らの最高作か。火を吹くリールからイマジネイティヴなタイトル曲まで一気に聴かせる。クラナドで知られる「ドゥラモン」も必聴。
ブラックウォーター(東芝EMI VJCP25239)1996
フランキー亡き後の新生アルタンの第一作で、ダーモットが正式メンバーに加入、ドーナルやスティーヴ・クーニー達がゲスト参加している。フランキーの影を追わずに聴けばこれは傑作だ。ダーモットの自在なプレイとストリング楽器の絡みが素晴らしい。アン・ブリッグスでお馴染みのタイトル曲の大胆なアレンジにも注目。
ラナウェイ・サンデイ(東芝EMI VJCP25365)1997
前作と同じメンバーで制作され、プロデュースにもここ数作と同様彼ら自身が参加しているが、全体に明るくライトな感触で親しみやすい。ゲストには常連のドーナルやクーニー達の他に何とフルートの神様マット・モロイも。完全に吹っ切れた印象の彼らはドニゴール独特のダンス曲から英語のトラッド名曲までを楽しく聴かせる。
アナザー・スカイ(東芝EMI VJCP68197)2000
初の完全なセルフ・プロデュースの作品で、ヴォーカリストとしてのマレードの魅力をこれまで以上に全面に押し出している印象を受ける。フォークの名曲「1万マイル」の美しさは格別だが、ディランの「北国の少女」のカントリー的な味もなかなか。ゲストには何とボニー・レイット(スライドギター)も。日本盤は1曲追加。
"The Blue Idol"(東芝EMI)2002年
ローカル・グラウンド(プランクトン VIVO-209)2005
アルタンの3年ぶり10作目。アイルランドの大地の香りと澄んだ空気、そして、人の温もりと幸福をいっぱい詰め込んだ素敵な素敵な作品。★ゲスト:カルロス・ヌニェス、スティーヴ・クーニー他
★国内盤のみボーナス・トラック1曲追加収録
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