カラン・ケイシー
Karan Casey (vocal)
Niall Vallely (concertina)
Robbie Overson (guitar)
アイリッシュ・アメリカン・トラッドのトップ・バンド、ソーラスの看板シンガーとして名を上げたカランは、元々クラシックやジャズを学んでいただけあり、オーセンティックな伝統音楽にはない独特の軽味と翳りを帯びた可憐な歌唱がチャーム・ポイントだ。そのキャラクターはソロになってから一段と冴え、コアなトラッド・ファンたちにもショックを与え続けている。
アイルランドのウォーターフォード生れ。大学でクラシックを専攻したが、本当にやりたかったのはジャズ・ヴォーカルだったという。93年に渡米し、ジャズを学ぶ一方で、アイリッシュ・トラッドのセッションに参加するようになる。94年にシェイマス・イーガンに誘われ、ソーラスに参加。アコースティックな編成を維持しつつ圧倒的なパワーと繊細さを併せ持つソーラスは一躍人気を集め、カランも瞬く間にケルト音楽界のスターとなった。97年に同バンドのバックアップを得て、ソロ『ソングラインズ』を制作。98年には待望の初来日を果たす。
99年にソーラスを脱退。結婚、出産をはさんで、新たな環境の中で音楽活動を再開。2000年に制作した『シール・メイデン』は、アザラシ娘の伝説をカランの語りと歌で構成した子供のためのアルバムで、アルタンのマレードをはじめ豪華なゲストが参加し、高水準な作品に仕上がっている。2002年の『ザ・ウィンズ・ビギン・トゥ・シング』では、ソーラス時代から大きく成長した彼女の新しい世界が広がる。カパケイリーのドナルド・ショウのプロデュースのもと、名曲「奇妙な果実」をはじめ、斬新な音づくりにも果敢に挑戦したこのアルバムは、ケルティック・ミュージックが到達した一つの頂点といえる。最新作は『ディスタント・シヨアー』(2003)。
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