INTRODUCTION

ジプシーブラスのルーツに迫る愉快なドキュメンタリー!

地図にない、駅もない、
東欧の人口たった400人の村から出現した驚異のブラス、
ファンファーレ・チォカリーア。
ルーマニア発、世界最速ジプシーブラスが、
小さな「幸せ」と大きな「元気」を世界へ運ぶ。

ジプシー文化へのラブストーリー
凍りついた湖。ひとりの少年が氷の割れ目から、ホルンを拾い上げる。まるでおとぎ話のようなシーンから映画は始まる。これは、ルーマニアの人口たった400人の小さな村で生まれたジプシー・ブラスバンド“ファンファーレ・チォカリーア”が、やがて世界中を席巻し、多くのファンを生んでいく過程を詩情豊かな映像で描いた音楽ドキュメンタリーである。

彼らの村ゼチェ・プラジーニで撮影されたポエティックな映像詩と、日々の営みを映すほのぼのと人間味溢れたスケッチ、そして世界最速といわれる熱狂のライブシーンを巧みに編み上げて綴られるファンファーレ・チォカリーアの愉快な“旅”。出産あり、恋愛あり、少年の希望があり、人生の教訓があり、異文化のぶつかり合いがあり、交流がある。そして同時に、小さな描写の一つ一つからは、彼らジプシーの歴史や、社会主義崩壊を経た激動の東欧の歴史も見えかくれする。
しかし何といっても強烈な印象を残すのは、音楽への圧倒的な情熱だ。自由で、誇り高く、人生を楽しむのが最高にうまく、喜びに満ちたジプシー達のエネルギー。それでいながら、今、最高に幸福かと思うと、瞬時に哀しくなるメランコリー。そのコントラストが、ファンファーレ・チォカリーアのパワフルなブラスには凝縮されている。

監督は、ドイツのドキュメンタリー作家で、もう30年以上もジプシーの文化に魅了されているというラルフ・マルシャレック。最初の構想から5年をかけて、彼の恋したジプシー文化への“ラブストーリー”を完成させた。
映画の終盤には、2000年に行われた初めての来日公演での映像も登場!梅津和時、東京中低域ら日本のミュージシャンと共演した、超満員・熱狂の東京ライブ!そして警官も出動した渋谷・ハチ公前でのパフォーマンス。とんでもないジプシー・パワー全開のライブはまさに必見!
この映画は、スペインで開催された音楽ドキュメンタリー映画祭では最優秀作品賞を受賞し、2003年の山形国際ドキュメンタリー映画祭でも大喝采を浴びた。2004年夏、ファンファーレ・チォカリーアの2度目の来日公演を記念して遂に公開。

世界最速ジプシーブラス!
東欧、ルーマニアの北東の寒村、ゼチェ・プラジーニ。地図にも載っていないし、駅もない。泥の道とゆるやかな丘と井戸と畑、鶏とアヒル、犬に豚に馬、そんな何もない絵画のように美しい村に、世界最速のジプシーブラスバンドがいた!

たった400人の村、ブラス85%!
村の人口400人のうち女性が半数、子供を除くとおやじ100人。
うち85%がブラス吹き。驚愕のブラス村!!

畑から生まれたおやじブラス!!
厳寒の地、モルドヴァのジプシーたちはルーマニアでも特に貧しい農民だった。農業なしには暮らせない。ごつごつの指でヴァイオリンは無理だった。口とマウスピースだけでブカブカ吹けるブラスが彼ら農民には最適だったのである。泥の長靴で踊り、裸電球の下で練習する音楽家たち。ほのぼのとした日常の中に、天性のエンタ−テイナ−気質が描かれる。

ドイツ人がおったまげた!
ひょんなことから、村に辿り着いた音楽好きのドイツ人。こんな凄まじいブラスが!ドイツ人は恐るべきパワーとスピードに仰天した。みすぼらしい生活から脱出したいという切ない願いで、村びとたちはドイツ人に夢を託すのだった。ドイツ人とジプシーの人々、この出合いが大きな成功を生んだ。

炎のような熱いブラスが世界を駆け巡る!来日映像も必見!
かくして、ルーマニアの小村発、ドイツ、イタリア、世界へと、チォカリーアの旅が始まった。ツアーの稼ぎで村に教会を建てた!楽器も買えた!
2000年、超高速音に乗って日本にまでやってきたチォカリーア。超満員、熱狂の東京のライヴ!おまわりさんが出動した渋谷ハチ公前パフォーマンスもフィーチャーされています!